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健康経営ことはじめ 初級編 ①〜③までのおさらいをしましょう

健康経営のプロフェッショナルである岡田邦夫さんを迎えて、健康経営についていまさら聞けない初歩的なことも含めて、わかりやすく解説してもらう連載「健康経営のことはじめ」。
今回は、第1回から第3回までのポイントを整理したダイジェスト版をお届けします。ここまでの内容を復習して、できることから健康経営をはじめてみましょう。






第1回 「健康意識が高い社長ほど、会社も従業員も健康になる!?」

●企業が長生きするのは従業員の健やかさがあってこそ


少子高齢化が進むと企業存続のためには従業員が高齢になっても働いてもらわなければなりません。その従業員が病気や体調不良で会社を休むようになってしまったら利益損失につながります。また、日本ではアメリカと異なり体調不良を理由に従業員の解雇は出来ません。
従って、企業は積極的に従業員の健康をつくろうとしなければ企業の存続性(サステナビリティ)は危ぶまれます。「目先の利益」も大切ですが、従業員の健康に積極的に関与し企業が健やかであり続けるという考えが「健康経営」です。


●経営者の健康意識が、従業員の意識を自然と高める。


中央労働災害防止協会が行なった研究結果から「経営者の健康意識が高いと、従業員の健康意識も高い」と示唆されました。
経営者が病気で倒れてしまったら、その企業は混乱してしまいます。自ら健康診断に行き、健康状態を知り、健康管理が出来て、更に従業員の健康づくりへの啓発が出来る、そんな経営者は能力が高いと言えるでしょう。
そして、経営者が健康リテラシーを持ち、企業が健康経営へ取り組んでいれば、その考えは企業理念に反映され従業員の雇用にも影響を及ぼします。その結果、健康経営に取り組んでいる企業には、良い人材が集まり自然と生産性が向上していきます。
更に年代を問わず共通のテーマとなる「健康」を軸に従業員とコミュニケーションを取れば、従業員の健康に配慮をしつつ仕事へのサポートも行うという企業風土が出来上がり企業基盤は強固になります。


●まずは健康診断に注目して、今の状況を理解しよう


従業員へのアプローチとして最初に注目すべきは「健康診断」の受診率です。受診率が100%でなければ受診していない従業員に受診出来なかった理由を聞き、それが業務であれば業務改善を行い、業務以外であれば次回は必ず受診してもらうようにコミュニケーションを取りましょう。
健康診断は社員の健康を見守る将来に向けた投資になり健康経営への第一歩です。受診率は100%にし、診断結果で再検査の従業員には治療を促し良い健康状態で仕事をしてもらいましょう。生産性を高めるには重要です。
また、中小企業の多くは「協会けんぽ」に加入しています。加入していれば企業全体の健康診断結果を共有してもらえ、専門家による保健指導も可能になります。東京都なら商工会議所を通じて「健康経営アドバイザー」や、大阪府の「健康経営ナビゲーター」という制度もあるので、必要に応じて利用すると良いでしょう。将来的には従業員が企業に求めていることなどを吸い上げ、トップダウンで身の丈に合った健康経営の施策を実施することが大切です。


第2回 「健康リスクが見えてくれば、将来の見通しが明るくなる!?」

●健康リスクを意識すれば、企業の底力がアップする


健康経営を行う上で、普段から健康リスクを理解し対策に取り組み続ける活動は、企業にとっての体力づくりと言えます。目先の利益のみを追求し、ピンチへの備えを疎かにしていると、実際にトラブルが発生した時に対応できません。普段から利益を考えつつ、ピンチの可能性も考慮しておけば、ある程度は回避できるはずです。将来を考えた投資がすなわち健康経営とも言えます。
また、企業にとって最も大切なのは、何と言っても「人」です。人の知識や労働力こそが無形財産であり、「人材」を「人財」と表記することも多くなりました。会社全体で健康づくりの風土や元気で働ける環境、上司が部下のケアをする体制を整え、一人ひとりがやりがいを持って働ける企業になるよう健康という視点からの取り組みが企業の底力となります。


●健康診断結果からリスクを洗い出し、幅広い視点で原因を探る


近年、企業における健康リスクが過重労働による心筋梗塞や脳卒中から、労働時間の大半を座って過ごすことが起因のエコノミークラス症候群のような症状に変わっています。多くの企業で仕事効率と生産性の向上を目的に導入したパソコンが、返って労働時間を長くしているためです。また、短時間睡眠が招く肥満も健康リスクとなっています。疾病や健康リスクに関する情報は、様々なメディアで発信されているので、経営者は常に従業員の健康に役立つ情報を収集すべきです。
一方、実際に起こりうる健康リスクは企業ごとに異なります。従業員の健康上の問題は業種によってその違いが健康診断の結果に表れますし、特定健康診査の問診票では生活習慣や体重の増減など詳細が見えます。健康診断や特定健康診査の結果は、協会けんぽから経営者に共有されますので必ず確認するようにしてください。


●コミュニケーションをとり、できるところから具体策を考えよう


従業員の健康リスクは、個人としてのものと企業全体として取り組むべきものがあります。経営者は企業として対処するべきリスクを見極めて対策を考じなければなりません。
リスクへの具体的な対策は3種類の健康投資です。一つ目はどんな企業でも実行出来る「時間投資」です。労働時間を活用し従業員に健康教育を行うといった時間への投資です。2つ目が「環境投資」です。働きやすい環境づくりのための投資で3S(整理、整頓、清掃)のような身近な内容から始めましょう。職場全体の環境改善は多額な費用がかかるため、できないこともあります。しかし、やり方を考えれば改善は可能です。3つ目は利益を直接投資する「利益投資」です。例えば予防接種費用は企業が負担するなど従業員の健康づくりに対する投資です。具体的な対策を行う際は、従業員とコミュニケーションを取り、出来ることからはじめ、ある程度の期間を継続することが大切です。


第3回 「メンタルヘルス不調を防ぐ極意は、適切なコミュニケーションにアリ!」

●良質な社内コミュニケーションは、毎日の挨拶から


従業員に、能力を発揮して長く働いて欲しいと願うなら、メンタルヘルスにも気を付けしましょう。重要なのが社内コミュニケーションです。
これからの時代は、上司から若い人に「おはよう!」と挨拶をし、顔色や反応で部下の体調や心のコンディションをチェックすることが必要です。体の不調は、心の不調のシグナルでもあるので、どんな些細な変化も見逃さないようにしなくてはなりません。そのためには普段から健康を軸にしたヘルスコミュニケーションを取りましょう。コミュニケーションにより信頼関係が出来れば、仕事の相談もしやすくなり、良い職場環境がつくれます。
いつもと違う部下をいかに早くキャッチするかは管理職の能力であり、普段から部下とのコミュニケーションが必要不可欠です。

●部下にとって必要な問題解決を考え、適切な言葉を


「誤ったコミュニケーション」はメンタルヘルス不調の原因になります。
部下とのコミュニケーションにおいて、否定から会話を始めることや自分を軸に話をしては信頼関係の構築は出来ません。“NO”と“I”はNGワードだと覚えておきましょう。まず“YES”で一度受け入れてから“YOU”を主語にしたヘルスコミュニケーションを心掛けてください。
健康経営は経営者ばかりでなく、従業員と普段密接に関わる管理職においても理解が求められます。若い社員が心のバランスを崩す原因には、仕事に対するやりがいやおもしろみを感じられない、というのもあります。仕事のやり方を適切に指導しフォローすることも、メンタルヘルスという視点から見ると健康経営の重要な取り組みになります。

●意識的に従業員の声に耳を傾け、状況を肌で感じよう


最近は中高年のメンタルヘルス不調が増えています。要因の多くは「職務適性」です。適性のない仕事は 、年齢に関係なくメンタル不調になりやすく、会社としては、従業員の話を聞き、職務適性を考慮した適正配置をいかにするかが重要なポイントになります。
従業員の話を聞く時に重要なのが傾聴です。従業員はそれぞれ価値観が違うので、経営者や管理職は自分たちの価値観を押し付けるのではなく、フラットに社員一人ひとりに労働観などをヒアリングすることが大切です。従業員にとっても上司に話を聞いてもらえればモチベーションもアップします。
 近年、経営者と従業員とがフランクに会話が出来るカジュワルなランチ会を開催している企業は増えています。このような機会を持てば経営者は従業員の生の声を聞くことが出来、従業員にとってのエンパワーメントとしても大切です。                                         

健康経営ことはじめ第1回〜第3回の内容をダイジェスト版でお届けしました。
 「健康経営」と聞くと一見、難しく身構えてしまうかもしれませんが、当たり前のように行ってきたコミュニケーションにもう一度目を向けて、少し視点を変えて丁寧に取り組んでみる。重要なのは、はじめの一歩を踏み出すこと。ぜひトライしてみてください!




〈プロフィール〉


岡田邦夫
NPO法人健康経営研究会理事長
大阪府医師会健康スポーツ医学委員会委員長
平成26年度厚生労働省「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取り扱いに関する検討会」委員をはじめとして各方面で幅広く委員を歴任。
主な著書に『健康経営のすすめ』(社会保険研究所)、『これからの人と企業を創る健康経営』(社会保険研究所)、『健康経営推進ガイドブック』(経団連出版)、『ストレスチェック導入・運用サクセスガイド』(メディカ出版)、『なぜ「健康経営」で会社が変わるのか』(共著)など多数

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