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従業員だけでなく、お客様も含めた健康管理を。アースホールディングスの健康経営の施策



ヘアサロン「EARTH(アース)」を運営するアースホールディングス。全国で250店舗以上を運営する日本有数の美容室チェーンである同社は、健康経営に基づく従業員の健康管理を進めています。実施されているさまざまな施策について、アースホールディングス代表取締役の國分利治さんに伺いました。




美容師ならではの健康課題と、コロナ禍という経営課題の2つを解消するには

―アースホールディングスは全国に250店舗ある日本最大の美容室チェーンです。強さの秘訣はどこにあるのでしょうか?

國分 大きな強みは暖簾分けスタイルのFC(フランチャイズ)チェーンであること、と自負しています。

各店で経験を積んだ技術者は、店を持ちたければ「EARTH」名でオーナーになれる。ただし提供するメニューも料金も営業時間も各店舗のオーナーに自由にまかせています。

自由度が高いので、高いモチベーションで店舗運営ができます。結果、お客様に高いレベルのサービスを提供できているのです。

―各店が個性を打ち出せる一方、100人のオーナーが一堂に会するオーナー会議を頻繁に実施しているそうですね。こちらの狙いは?

國分 各店の成功体験や失敗体験といったナレッジを共有するためです。仮に1店舗だと、お客様からのクレームや意見が1ヶ月に1件あったとしたら「大した問題ではない」と捉えがちです。

しかし、250店舗が参加するオーナー会議では同じ数字も「1ヶ月に250件」も入ったことになる。危機感がまったく変わります。結果、経営に対する意識が高まります。逆に、1店舗でうまくいった施策なども共有することが可能です。

―そのオーナー会議の場では、「健康経営」について語る機会も多いと伺いました。

國分 はい。「健康経営」なんて言葉がなかった10年以上前から、各店のオーナーやスタッフに向けて健康の大切さをことあるごとに伝えてきました。

基本的に美容師の仕事は体力勝負です。技術者であると同時に、お客様と対面で一定時間を過ごす接客業でもあります。心身のコンディションがベストでなければいい仕事はできません。健康経営でいうプレゼンティーズムですね。

―考えてみたら、美容師はスタイリッシュなイメージもありますが、同時に過酷な立ち仕事でもあります。

國分 腰痛などの職業病を抱えた美容師も多いです。もちろん、美を司る仕事でもあるので、自分自身が健康的で美しい体をしていることが望ましい面もある。

美容師は、ある程度、お客様に憧れられるような存在である必要があります。「美と健康」を維持することは、サロンのサービスや経営に直結する極めて大切な課題なのです。


―オーナー会議では、健康についてどのようなお話をされるのですか?

國分 いま話したような美と健康の重要性を説きながら、バランスの良い食事を摂ってほしいこと、体重維持のため毎日体重計に乗って欲しいこと、意識して体を動かしてほしいことなどを伝えています。「健康診断受診率100%」も推進しています。

さらに、ここ数年はコロナの影響もあって、店舗設備と衛生の徹底とともに、体調管理の重要性を従業員に強調して伝えるようになっていましたね。

―外出自粛やソーシャルディスタンスを保つなど、健康リスクを恐れてお客様の足が遠のいた時期もありましたね。

國分 そうですね。ただご自宅で済ますのが難しいサービスですので、飲食店などに比べ短期間の影響ではありました。

だからこそ従業員が健康でい続けることが絶対的な使命であると認識していました。安心してお店に来ていただける状況を保つ必要があったから、大塚製薬からお話をいただき、コラボレーションを実施したのです。

少し気恥ずかしかった「健康への声かけ」

―コラボレーションに至った経緯を教えてください。

國分 もともと九州のオーナーが大塚製薬から新製品を紹介していただいたのがきっかけです。私も彼に紹介されて「ボディメンテ ドリンク」を試してみて、いい製品だと感じました。乳酸菌B240の力で体調管理をサポートするということでしたし、従業員、そしてお客様に安心・安全を届けることになるだろうと考えたのです。

それで昨年12月に「ボディメンテ ドリンク」を「EARTH」の250店舗のお客様に無料配布し、日々の体調管理やコンディショニングにつなげてもらおうとしました。手始めに先ほど出てきたオーナー会議の場で「ボディメンテ ドリンク」を配布。そのうえで、製品の内容やプロジェクトの意図などを、オーナー向けにセミナーとして実施しました。


―まずは100名のオーナーの方々に理解していただいたうえでプロジェクトを進めようとされたのですね。

國分 個性豊かなオーナーたちなので、ただ上から「やってください」と言っても動きませんから(笑)。

試飲してもらうと非常に飲みやすく味が良いことも体感してもらえて、また乳酸菌B240についても深く理解してもらえた。何より「ポカリスエット」や「カロリーメイト」の大塚製薬というブランドの信頼性もあって、「お客様に配りたい」とすんなり決まりました。

以前から、たとえばお客様へのサービスとして、映画会社などとコラボし、割引鑑賞券などを配布する施策などは実施してきました。しかし、「ボディメンテ」は「EARTH」のコンセプト「美と健康」とも親和性が高いので、なお皆が乗り気になってもらえたと思います。

―店舗では、実際どのようにお客様にお渡ししたのでしょうか?

國分 会計の際、「師走の忙しい時期ですが、体調にお気をつけて。これで水分補給を」とか「体調管理が大変な時期のコンディショニングになれば……」といった具合に、セミナーで伺った健康知識とともにお渡ししていました。

このときもお客様から「ポカリスエットの!」とすぐに大塚製薬の製品とご理解いただいて、スムーズに訴求できたようです。


―実際の店舗スタッフから施策実施後にアンケートを取ったと伺っています。どのような声がありましたか?

國分 「お客様との距離が縮まった」との声が目立ちました。

先に述べたように私たちは「美と健康」を謳っています。ただ「美」はヘアスタイリングで直接的に日々お客様に訴えられますが、「健康」のほうは少し難しい面がありました。

「ボディメンテ ドリンク」を配ると同時に、先程のような「体調に気をつけてください」といった一言を自然にお伝えできた。お客様のお体を気遣っている思いを自然に伝えられた貴重な機会になりました。

従業員とお客様のつながりが強まったと同時に、私たちが積極的に健康と美の発信・取り組みを続けていることも伝えられました。あらためて、来店に関して安心感を持っていただく契機にもなったと感じています。

―今後、健康経営に関して、店舗やスタッフ、あるいはお客様に向けてどのような取り組みを考えていらっしゃいますか?

國分 従業員への健康情報の伝達という部分で、大塚製薬の方からセミナーをしていただいた後、健康に関するアンケート*で意識調査を実施できたのがとても有意義だったんですね。

健康の悩みを調べると1位が「運動不足」、2位が「食事の栄養バランス」、3位が「睡眠時間と睡眠の質」といった順番に、皆が課題を感じていた。こうした現場から挙がった健康課題を解決するような施策を今後も実施していければと考えています。

特に美容師は、普段は立ち仕事で疲れがちなため、意外と休日に体を動かす人が少ないといった事実もあります。そうした課題に対応していくためにも、引き続き、健康経営には積極的に取り組んでいきたいですね。

*アンケート調査概要
調査手法:Webアンケート(無記名式)
有効回答数:63名(男性49名、女性13名)
調査実施日:2023年1月23日(月)~2023年1月31日(火)まで
調査対象者:Hair&Make EARTH オーナー、従業員




【プロフィール】


株式会社アースホールディングス
代表取締役CEO
國分利治(こくぶん・としはる)


1958年生まれ、福島県出身。1976年、工業高校電気科卒。新宿の美容室に就職。1989年に「EARTH」の前身となるサロンをオープン。1995年、米国視察を機に大型店舗展開へと出店戦略を切り替え大きく業績を伸ばす。1998年、葛飾区・青砥にヘアサロン「EARTH」1号店をオープン。東日本大震災をきっかけに始めた継続的な被災地へのチャリティ活動や、病気やケガで髪に悩みを抱える子どもに向けての「ヘアドネーション」など、美容室ならではの社会貢献活動にも注力する。

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