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今年の夏も熱中症に気をつけよう


熱中症対策は、本格的な暑さを迎える前から始めておく必要があり、実際に梅雨入り前の5月頃から発生件数は増え始め、梅雨が明けた後(7月中下旬)頃からさらに増加していく傾向があります。
熱中症とは、高温・多湿の環境で起こる暑熱障害の総称のことです。めまい、けいれん、頭痛、意識障害など、さまざまな症状を引き起こします。熱中症が起こりやすいのは、日差しが強い日や、最高気温30度以上となる真夏日、さらに最高気温35度以上の猛暑日だと思われがちですが、実際には梅雨の晴れ間や、梅雨明けの暑くなり始める時期にも多く見られます。この時期は、身体がまだ暑さに慣れておらず、うまく体温を調節できないからです。
総務省消防庁が公表している「令和4年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」によると、2022年に熱中症により救急搬送された人の数は、6月末から7月初めの週が最も多くなっています。また、2022年の7月には27,909人が熱中症により救急搬送されたと報告されています。


熱中症になりやすい職場の特徴と対策


 熱中症になりやすい職場の特徴から見てみましょう。

熱中症になりやすい職場とは
環境省が作成している「熱中症環境保健マニュアル 2022」では、熱中症になりやすい職場の特徴として次の4つを挙げています。
・炉や高温物体がある
・周囲のペースに合わせなければならない
・身体を動かす時間が長い
・体調に合わせて休憩しにくい
このような職場では、特に熱中症に注意が必要です。

熱中症による死傷者数を業種別に見ると、最も多いのが建設業、次いで製造業です。職場における熱中症による死傷者数は、上下動しながらも増加傾向にあります。全体の傾向を見ると職場での熱中症で、毎年約600人が4日以上仕事を休み、年間約20人が亡くなっているとされています。


出典:厚生労働省「令和4年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況」

また、2023年3月13日からマスクの着用が個人の判断となりました。マスク着用により、皮膚からの熱が逃げにくくなったり、気づかないうちに脱水が起きたりしやすく、熱中症のリスクが高まります。現場の状況に応じて熱中症のリスクを伝え、適宜マスクの着脱を個人で判断するように呼びかけましょう。

厚生労働省の「クールワークキャンペーン」
職場での熱中症対策を徹底するために、厚生労働省は毎年、労働災害防止団体などと連携して「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施しています。※キャンペーン期間は5月1日~9月30日まで(4月:準備期間、7月:重点取組期間)
熱中症対策として、まず職場が実施すべきなのは、①「WBGT値(暑さ指数)」の把握とその値に応じた熱中症予防対策を実施すること。WBGTとは、「湿度」、「日射や輻射などの熱環境」、「気温」の3つを考慮した指標です。WBGT値が28(厳重警戒)を超えると、熱中症患者が一気に増えることがわかっています。
また、②作業を管理する者及び労働者に対してあらかじめ労働衛生教育を行うことや、③衛生管理者などを中心に事業場としての管理体制を整え、発症時・緊急時の措置を確認し、周知することについても重点的に呼びかけられています。



厚生労働省が発表している「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」リーフレットに記載されているチェックリストを活用して職場の熱中症対策を進めていきましょう。

厚生労働省ボータルサイト 学ぼう!備えよう!職場の仲間を守ろう!職場における熱中症予防情報
STOP!熱中症クールワークキャンペーンワークシート

2023年は暑くなりそう
気象庁が2023年6月20日に発表した3ヵ月予報によると、7月~9月の平均気温は北日本では「ほぼ平年並」東日本では「平均並みか高い」、西日本、沖縄・奄美では「高い」との予想で、今年は、本格的な暑さがやってくる可能性があります。また、気候変動の影響もあり、熱中症に注意が必要な時期は、ひと昔前よりも早まっているようです。暑さに慣れるには数週間かかると言われており、本格的な暑さが始まる前から「暑さに身体を慣らすための対策」が必要です。軽く汗をかく程度の適度な運動をしたり、少し長めの入浴をするなど、汗をかく習慣づけを継続的に行っておくことが大切です。身体の中の熱を逃がす働きとして重要な働きをする汗は、血液中の水分と電解質から作られます。作業開始前や休憩中はもちろん、作業中もこまめな水分・電解質補給を心がけてください。

熱中症の発生には個人差がある
熱中症の発生には、その日の体調も大きく影響します。睡眠不足や、食事抜き、また脱水状態となりがちな風邪等での発熱のときなどにも注意が必要です。肥満気味であったり、薬の服用や持病がある場合、過去熱中症になったことがある方なども気をつけなければなりません。
また、事業場においての勤務経験の浅い方は暑さの慣れが十分でなかったり、長期休暇明けの方は暑さに慣れた身体が元に戻ってしまったりする場合もあり配慮が必要です。作業負荷や量、また休憩の頻度など個々にあわせ対策をとるようにしましょう。

次回は、暑熱環境下における熱中症対策として「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」で実施すべき事項の1つとして記載されているプレクーリングについて詳しくお伝えいたします。

まとめ 
▸5~6月でも熱中症になる人が増えている。
▸厚生労働省は「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施し、職場における熱中症対策の徹底を呼びかけています。
※キャンペーン期間は5月1日~9月30日まで(4月:準備期間、7月:重点取組期間)
▸2023年は本格的な暑さがやってくる可能性も。暑さに身体を慣らすための対策を行っておきましょう
▸身体の中の熱を逃がす働きとして重要な働きをする汗は、血液中の水分と電解質から作られます。
こまめな水分・電解質補給を心がけましょう。
▸個人個人に合わせて熱中症対策を実施しましょう。

参考サイト:
気象庁 | 季節予報解説資料
熱中症が熱中症が起こりやすい時期と場所|大塚製薬
熱中症環境保健マニュアル 2022 - 環境省熱中症予防情報サイト
職場における熱中症による死傷災害の発生状況 - 厚生労働省
令和4年5月の熱中症による救急搬送状況 - 総務省消防庁
暑さ指数(WBGT)について - 環境省



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