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たかが頭痛ではすまされない 人には言えない片頭痛の実態

記事作成者:大塚製薬株式会社 メディカル・アフェアーズ部 CNSグループ 神経領域

頭痛を我慢しながら仕事をしている人が多いことをご存知でしょうか。特に真面目で責任感のある人であればなおさら、「たかが頭痛で仕事を休むのは申し訳ない」「我慢すればなんとかなる」と無理をすることも。頭痛は目に見えるものではなく、また頭痛がない人にはそのつらさが理解されづらいためか、当事者は我慢し、周りも軽視してしまいがちなのが実情です。しかし、頭痛は立派な「病気」です。放っておくと従業員のモチベーションや仕事の効率に影響が出てしまう可能性も。それでは、頭痛の実態を見ていきましょう。




片頭痛がプレゼンティーイズムの原因に!


ひとくちに「頭痛」といってもさまざまな病状がありますが、生命にかかわらない頭痛でも日常生活に支障をきたすことが多いとわかっています。障害生存年数(YLD)という日常生活への支障を表す指標を用いて世界の疾病負担を調べた研究によると、片頭痛は全疾患のうち2番目に支障が大きい疾患です1)。さらに、頭痛による生産性の低下がもたらす日本の経済的損失は、なんと年間3,600億円〜2兆3,000億円との試算も2)。経営者としては見逃せない不調なのです。


片頭痛患者さんを対象に行った調査によると、4人に3人が「日常生活に支障をきたしている」と答えているにもかかわらず、7割近くが「仕事や行事を休まない」と回答3)。つまり、多くの片頭痛患者さんが、体調不良を抱えつつも仕事を行っているためにパフォーマンスが上がらない=「プレゼンティーイズム」の状態であり、それが企業の生産性に大きく影響しているのだと考えられます。


プレゼンティーイズムの原因となる「片頭痛」とは


慢性的な頭痛は働く人のプレゼンティーイズムにつながりますが、その種類には大きく分けて「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」の3タイプがあります。それぞれ痛む場所や痛みの程度、原因が異なるため、予防法や対処法も大きく変わることをまず理解しておきましょう。

「片頭痛」は、こめかみから目にかけて、片側を中心に※ズキズキと脈打つような中等度〜重度の痛みが4時間〜3日間持続します。ストレスや不規則な睡眠のほか、月経が要因となる場合もあります。国内の有病率は8.4%で、特に20〜40代の女性に多い病気です。吐き気や嘔吐をもよおしたり、太陽やPCなどの光をまぶしく感じて目の奥が痛くなったり、物音が強く頭に響いたり……といった症状が伴う場合もあります。仕事の能率が上がらず、頭痛でつらそうにしている場合、ほとんどは片頭痛によるものだと考えてよいです。
※両側が痛むケースもあります

「緊張型頭痛」は、3タイプの中で最も多い頭痛で、頭が締めつけられるような軽度〜中等度の痛みが30分〜7日間持続します。一般的には、片頭痛と比較すると、支障度は軽い頭痛です。

比較的稀な頭痛である「群発頭痛」は、目の奥・こめかみがえぐられるような激しい痛みが突然起きます。片頭痛とは反対に男性に多い頭痛で、年に1〜2回あるいは数年ごとに数週〜数カ月間続くうえ、夜中に起こることが多いので寝不足になりやすいのが特徴です。


仕事やプライベートにも多大なる影響が……


片頭痛のつらさは、「頭が痛い」「吐き気がする」「吐いてしまう」「まぶしくて目が開けられない」「周りの匂いや音が気になる」といった身体的な苦痛を伴うことはイメージしやすいかもしれません。ですが、片頭痛を持つ人は、「頭痛が次にいつ起こるかわからない」「頭痛が起きて、また仕事の変更をすることになったらどうしよう」といった、目には見えない不安やプレッシャーが常につきまとっています。


さらに、片頭痛はうつなどの気分障害や不安障害といった精神疾患との合併が多いことも知られています4)。片頭痛が繰り返されると、仕事や家事、余暇などの日常生活に大きな支障を与えます。それが、二次的なうつ状態や不安を引き起こすと考えられているのです。そして、これらのストレスが、さらなる頭痛発作の誘発や増悪につながり、悪循環を生む可能性もあります。

人に言えずに我慢しながら働いている従業員がいることを忘れずに

たかが頭痛、されど頭痛。業務や人間関係に影響するからこそ、我慢は禁物。今、あなたの会社で必要なのは、無理して頑張ってしまう“頭痛持ち”のつらさを社員全員が理解できる取り組みなのです。つらい頭痛の時に能率が上がらないと、上司から「やる気がない」と見られる場合も。頭痛で悩んでいる人に、ひと言「大丈夫?」と声をかけるだけで気持ちの負担は違います。


まとめ

  • 頭痛は「病気」です!

  • 日常生活に支障をきたす頭痛もあり、仕事に影響を与える可能性も。

  • 頭痛持ちにも働きやすい環境作りが、会社の経済的損失を防ぎます。

  • 頭痛はうつ病などの精神疾患を合併することも。

 




≪参考≫
頭痛の悩み.jp  https://zutsuu-nayami.jp/

(2022年2月現在)

≪出典≫
1)    GBD 2016 Disease and Injury Incidence and Prevalence Collaborators.:Lancet. 2017;390(10100):1211-1259.
2)    Shimizu, T. et al . : J Headache Pain. 2021 ; 22(1) : 29.
3)    Sakai, F. et al.:Cephalalgia. 1997;17(1):15-22.
4)    監修/日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会. 編集/「頭痛の診療ガイドライン」作成委員会. 頭痛の診療ガイドライン2021. 医学書院;2021. P115-116.


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