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【前編/サウナで健康経営を考える】お金のプロに聞く、サウナの有用性



事業を運営していくなかで非常に重要となる「社員の健康」。
現在、様々な企業で健康経営への取り組みが行われているが、その中でサウナを福利厚生や生産性の向上、社内コミュニケーションの一環として取り入れる企業やビジネスマンが増えている。前回は医師を招いて、医学的な見地からサウナの有用性を紹介したが、今回はお金のプロであるファイナンシャルプランナーでサウナ―でもある古賀亮一氏にサウナの有用性について伺った。古賀亮一氏は法人顧客としては中小企業を多く受け持ち、財務や事業承継、労務の支援を、個人顧客向けには、不動産を中心とした総合的なコンサルティングを提供している。また、ファイナンス以外にも、新規サービスの開発や基幹システムの導入など多岐にわたる活躍をみせており、21年2月には「子育て家庭 いくらの家を買いますか?~学資の準備と返済に悩まない家の買い方~」を出版している。


合同会社マネット  代表取締役 古賀 亮一 氏

サウナは「決断」ができる場

サウナーけた:「今日はよろしくお願いします」

古賀氏:「はい。よろしくお願いします」

サウナーけた:「著書拝読させていただきました。
お金のこと、不動産のこと、経営のことなどマルチなノウハウをお持ちの古賀さん、サウナが大好きと伺いました。」

古賀氏:「はい、サウナは大好きです。なんとなく頭が冴えないなぁ、スッキリしたいなぁ、と思う時はすぐにサウナに行きます。出張に行く時などは必ずサウナのあるところに泊まりますよ。」

サウナ―けた:「出張時はぼくも必ずサウナに泊まります!」

古賀氏:「あと、身体のメンテナンス的な理由で入るときもありますが、なにか大きな決断をするときもよくサウナに行きます。迷っていることがあると、サウナに入って水風呂に入って、外気浴で休憩しているときにパッと決断できる場合が多いんです。なので悩んだり迷ったりしている時は、必ず一人でサウナに行きます」

サウナ―けた:「それとてもわかります!サウナで意思決定するというビジネスマンの方、多いですよね。古賀さんはビジネスとサウナの親和性をどうお考えですか?」

古賀氏:「忙しい人ほど、常に仕事のことを考えていると思うんです。いい意味でオンとオフがない、常にアンテナをはっていると思うんですよね。そういう人にとって、強制的にオフにできる環境ってとても重要だと思うんです。」

サウナ―けた:「たしかに……。常に思考の糸を切らさないといいますか、常になにか考えてますよね……。」

古賀氏:「けたさんも今、インタビューをしながら次の質問や、自身のビジネスにいかせるものはないかと考えながら話してるでしょ?ビジネスマンってそうだと思うんですよ。それを『熱い』『冷たい』だけにする。サウナっていったん強制的に思考をオフにできるんですよね。」

サウナ―けた:「なるほど……。思考をオフにするって、あるいは意識しないと出来ないことですもんね。」

古賀氏:「思考を強制的にオフにするって、そうとう強度の高い運動をするか寝るかくらいかだと思うんです。ゆえにサウナの時間ってとても貴重で、いろんな考えや損得、雑念が取り払われ、頭じゃないもので自分がなにを求めているのかシンプルにわかる。だからサウナで決断がしやすく、その決断には自分が腹から納得できる。そういう時間や機会があるからこそ、ビジネスとの親和性が高いのかもしれませんね。」


「健康経営」をするということは、先のことを考えておくということ。

サウナ―けた:「次に相談を受けることもあるかと思いますが、古賀さんにとって『健康経営』をする、とはどういったことになりますでしょうか?ぜひお聞かせいただければと思います。」

古賀氏:「健康に気をつける、ということは、『先のことを考える』ということだと思うんです。たとえば先のことを考えずに今のことだけを考えて食生活をおくると、脂っこいものとか糖分の高いものとか気にせず食べるじゃないですか。でも先のことを考えるから栄養バランスの良い食事をして健康に気を遣う。これはビジネスの中長期戦略や事業計画を描く時にも通じる考え方かと思うんです。先のことを考えて今やれることを習慣づけておく、そういう思考癖をもつ。それが『健康経営』をするということだと思います。」

サウナ―けた:「健康経営とは中長期的な視野をもつこと。まとめるとこんな感じでしょうか。いつ何どき起こりえるかわからない経営難に対し、しっかり健康的な身体をつくり対策しておくこと。コロナ禍になって、この重要性は本当に身にしみてます。」

古賀氏:「そうですね。ただ、とりわけ中小企業だととても実践が難しいんです。」

サウナ―けた:「といいますと……?」

古賀氏:「みんな『治療』の段階で動くのではないかと思うんですよ。たとえば歯医者に行く時って、概ね歯の治療などで行き、事前対策で歯医者に行く人って少ないと思うんですよね。でもむし歯になってからでは痛い思いもするし、事前対策以上の時間とお金がかかる。だから本来は『治療』から動くのではなく前もって『対策』という行動を事前にしておく。これはとても大事なことなんですが、その考えを中小企業の経営に当てはめるのはとても難しい。中小企業はよほどの余裕がない限り、今目の前の数字を追いかけなければならないので、中長期での取り組みができるかというと難しいと思うんですよね。だから制度や仕組みが必要なんです。」


対策に対する企業の評価が、健康経営のファーストアプローチ

サウナ―けた:「健康経営は治療ではなく対策が重要であるとのことですが詳しくお聞かせいただけますでしょうか。」

古賀氏:「企業が『健康経営』を実践するアイデアの一例ですが、健康診断をきちんと受けないとボーナスを支給しません、という会社もあります。」

サウナ―けた:「おお……、それだと絶対に健康診断受けますね……。」

古賀氏:「その事例は少し極端なマイナスアプローチかもしれませんが、とはいえ社員の健康を守るアイデアとしてはとてもわかりやすいと思います。」

サウナーけた:「社員が何か大きな病気や不調をきたす前に、健康診断をきちんと受けていると、事前に兆候など分かるかもしれませんしね。」

古賀氏:「そうなんです。健康診断も、れっきとした『健康経営』のための事前対策なんです。経営に対し『治療』をするということは、損失を補ったり問題解決したりと、とても評価されます。ただ、治療をしているということは、損害が出ているということ。むし歯の治療をするということは、むし歯になっているということです。それに対し、事前対策をしっかりするということは、その損害すら起こさせていません。なので本来は治療以上に評価されることなんです。事前対策に対する企業の評価、これをまずはもっと上げていかなければなりませんね。」

サウナ―けた:「たしかに……。経営における治療は、なんかちょっと華やかで目立ちますが、事前対策はそうはいかないですもんね。ただ経営的貢献度はかなり高い。対策に対する企業の評価、これこそが、企業が取り組む健康経営のファーストアプローチかもしれませんね。『健康経営』に関する企業のアイデアの他に、なにか国の制度などはあるのでしょうか。」

古賀氏:「はい。『健康経営優良法人認定制度*』というものがあります。」

*経済産業省 健康経営優良法人認定制度については下記をご参照ください
健康経営優良法人認定制度(METI/経済産業省)


「強制的に思考をオフにしシンプルでフラットな脳にして意思決定ができる。」

サウナをビジネスやライフスタイルに取り込んでいる古賀氏ならではのサウナ術。
また、健康経営は治療ではなく、対策が重要であると語った。後編では具体的な健康経営に関する国の制度やサウナの有用性を紹介する。




<プロフィール>


古賀 亮一 
株式会社JIMOSに新卒入社。
通販支援部署にてBtoBのコンサルティング事業に従事。 その後、株式会社FREEPEACEに入社しFPとして個人、法人向けのコンサルティングを行う。法人顧客向けには、主に中小企業をターゲットと し、財務・事業承継・労務の支援を行っており、提携の社労士とともに、 労務支援サービスとして、働き方改革に向けた社内労務制度の整備や確 定拠出年金の導入を実施。 個人顧客向けには不動産を中心として、総合的なコンサルティングを提供。2021年に合同会社マネットを創業。



瀬尾圭太(サウナ―けた)
サウナ専門メディア「サウナタイム」代表
ブライダル情報誌「ゼクシィ」の企画営業を経て、ブライダルジュエリーブランド、ブライダルITメディアの経営に従事。苛烈な経営環境から仕事終わりにサウナに行くようになり、そこからサウナの世界にのめり込むようになる。サウナとビジネスの親和性を身を以て体験した。サウナタイムはサウナの入り方や効能、サウナのトレンドなどを発信する日本初となるサウナ専門のwebメディア。マガジンを中心に、サウナ検索や口コミ投稿などもできる。