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【企業の防災対策】ローリングストックを活用しよう


2023年9月1日で、多くの被害が発生した関東大震災から100年の節目を迎えました。この機会に改めて防災意識を高め、対策についても見直してみませんか?今回は、備えとして用意しておくべきものや備蓄品の管理にも活用できる「ローリングストック」などについて、詳しく紹介いたします。

近年の災害状況について


日本はその位置,地形,地質,気象などの自然的条件から自然災害が発生しやすい国土です。これまでにも度重なる災害により、交通網の寸断、停電や断水、ガスも供給停止となるなど、生活に大きな影響を与えています。なかでも、以下のような大規模な地震による被害は、記憶に新しいのではないでしょうか。
▷2016年 熊本地震(マグニチュード7.3)
▷2011年 東日本大震災(モーメントマグニチュード9.0)
▷1995年 阪神・淡路大震災(マグニチュード7.3)
また、近年は地球温暖化の影響によると思われる異常気象が増えており、今年も全国各地で豪雨が発生しています。
自然災害は、いつ・どこで発生するかわかりません。家庭の備えだけでなく、企業においてもしっかりと防災対策を行うことが大切です。

企業における防災対策
 


備蓄品の前に実施すべき防災対策
防災備蓄品を用意する前にまずは従業員の命を守る準備を万全にしておく必要があります。また、企業の拠点やオフィスごとに災害発生時の対策を考えておくことが重要です。以下の項目を参考に防災マニュアルを作成し、いざという時の対応を定めておきましょう。
1,災害時の組織体制
 現場指揮担当、情報班、救護班など災害発生時の役割、行動班を決めておくことで災害発生時に迅速な対応をすることができます。
2,情報収集と提供方法
 自社および周辺地域の被災状況の把握や交通機関、道路の状況把握を行う方法を決めておきましょう。
3,緊急連絡網の決定
 従業員の安否確認の方法や緊急連絡網の作成、緊急連絡先の登録を行いましょう。
4,初期対応・避難の確認
 負傷者の応急処置や火が出た際の初期消火対応を決めておきましょう。避難経路や避難場所を決定しておき、防災訓練などで実際の場所を確認しておくことも重要です。

企業における防災備蓄
つぎに取り組みたいのが、電気や水道、ガスといった生活インフラが止まってしまったときのために用意しておくべき「防災備蓄品」の確認です。
東京都では、従業員の3日分の食料等を備蓄することが企業の努力義務として定められています(東京都帰宅困難者対策条例 条例17号)。この条例は、東日本大震災が発生した際に帰宅困難者が続出したことや、帰宅しようとする多くの人で街中がパニックになったことなどを受けて、制定されたものです。大規模な災害が発生した場合、地域にかかわらず同様の現象が起こる可能性があります。従業員をはじめ企業にかかわる人々の安全を守るために、普段から防災対策を強化しておきましょう。

用意しておきたい防災備蓄品
まずは、基本的な防災備蓄品から。
▷食品(缶詰、栄養補助食品など加熱しなくても食べられるもの)
▷水
▷衛生用品(簡易トイレ、救急医薬用類、ティシュペーパー、マスク、ビニール袋など)
上記は優先度の高い備蓄品ですので、必ず備えておきましょう。
さらに、災害時の生活を支えるアイテムとして
▷ラジオ、乾電池、非常用電源
▷ライターもしくはマッチ
▷セットコンロ
▷防寒具
▷缶切り、ナイフ
なども用意しておくと安心です。
加えて、「あったらいいもの」を検討し、可能な範囲で備えておきましょう。
具体的には、
▷ヘルメット(落下物や飛来物から身を守るため)
▷工具(建物の外へ脱出する際に活用できる)
▷軍手(がれきを除去する際に役立つ)
▷自転車(敷地内の安全確認を素早く行うため)
などが考えられます。さまざまな場面を想定して、「これがあったら便利」なものを検討してみましょう。

「フェーズフリー」の考え方で防災対策に取り組む


取り組むべきだとわかっているものの、「用意するのに時間やコストがかかる」「管理が大変」などの理由で、後回しになっているという場合があるかもしれません。防災対策を取り組みやすくするために、「フェーズフリー」の考え方を取り入れてみませんか。
フェーズフリーとは、「日常時」と「非常時」のフェーズ(段階、区切り)をフリーにして、普段使っているものやサービスをもしものときにも活用しようという概念です。たとえば、「非常時用」の日用品を改めて用意するのではなく、会社でよく使う日用品は普段から多めに備蓄し、ローリングストックで管理する方法もあります。ローリングストックについて、次項で詳しく解説します。

防災備蓄品の管理は「ローリングストック」がおすすめ



「ローリングストック」とは、「普段食べている食品を多めに買って備えておく」「賞味期限の早いものから消費する」「消費した分を買い足す」という3つの行動を繰り返すことで、常に鮮度の高い食品を一定量確保しておくという方法です。ローリングストックを活用することで、食品の鮮度と量を保てるだけでなく、非常時にも食べ慣れている食事をとることができるでしょう。
ただし、備蓄品を選ぶ際には、栄養バランスに配慮することも大切です。エネルギーとタンパク質、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなど、できるだけバランスよくとることができる食品を選びましょう。これを最低でも3日分、可能であれば1週間分程度用意しておくことが望ましいとされています
従業員数が多い企業ほど、必要な備蓄品の数も多くなります。使用期限が同じものばかりをストックしておくと、気づいたら「全部期限が切れていた」といった状況にもなりかねません。企業においてローリングストックを実施する場合の5つのステップについて紹介します。
1,必要な備蓄品の量を把握
必要となる備蓄品の量を把握しましょう。企業においては正社員だけでなく、パートやアルバイト、派遣社員などを含めた自社で働く人数分を用意する必要があります。また、来客や地域住民の支援も考慮して余裕のある量を備蓄することが望ましいでしょう。
2,品目と賞味期限を記載して保管
保管用のダンボールに一目でわかるように品目と賞味期限を記載しましょう。また、倉庫などにまとめて保管する場合は古いものが手前に来るように配置をしましょう。
3,在庫管理表の作成 
保管場所ごとに備蓄品の品目と量、賞味期限などをリスト化しておくことで管理がしやすくなります。
4,期限が近付いたものから消費
作成した管理表をもとに、定期的に賞味期限や使用期限を確認し、必要に応じて消費します。企業におけるもっとも手軽な方法は従業員に配布して各自で消費してもらう方法です。備蓄品の量が多く、従業員に配りきれない場合は食糧支援を実施しているNPO法人などへの寄付も選択肢の一つとなります。
5,消費した分を補充
賞味期限が近付き、消費した分を追加発注して保管場所に補充しましょう。また、従業員数が増える際には追加発注をして適切な在庫管理を行うことが重要です。
改めて防災意識を高めて、フェーズフリーの考え方やローリングストックを活用しながら、防災対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。

まとめ

地震だけでなく大雨や台風などによる被害も増えている。従業員等を守るため、企業としてもしっかり災害対策に取り組む必要がある。
フェーズフリーを取り入れることで、防災対策へのハードルが低くなる。
ローリングストックで、備蓄食品の鮮度を一定に保つことができる。
企業における防災備蓄の管理にも、ローリングストックの活用がおすすめ。

参考:
特集1 平成28年熊本地震‐内閣府防災情報のページ : 防災情報のページ - 内閣府
近年の自然災害の発生状況 - 国土交通省
防災マニュアル作成の手引き - 愛知労働局

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