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身近なことから始めることが健康経営への第一歩



従業員などの健康管理を経営戦略として考える「健康経営」。今回は、2021年3月に「健康経営優良法人」の認定を受けている神奈川トヨタ商事株式会社・代表取締役の黒田圭次郎さんに同社の取り組みについてお聞きしました。




理想は従業員の健康と幸福感の両立



■神奈川トヨタ商事株式会社、代表取締役社長の黒田圭次郎さん
「今はコロナ禍で思うような活動ができず、歯がゆい思いもありますが、身近なことから会社全体で健康経営に楽しく取り組んでいきたいですね」

【神奈川トヨタ商事株式会社を紹介します】
設立/1955年11月
従業員数/32名(2021年5月現在)
業界/リース業
主な業務内容/総合リース事業を中心に、総合保険事業やマリン事業のほか、セディナオートローン取扱店業務にも携わる
健康経営をスタートした年/2019年度

- まずは御社が健康経営に取り組まれるようになったきっかけからお聞かせください。

神奈川県を中心に13社・207拠点で事業を展開しているKTグループのひとつが当社、神奈川トヨタ商事株式会社です。最初は2019年にグループ会社全体で健康経営に取り組んでいこうとなったのが始まりでした。ただ、20年ほど前になりますが、もともと健康保険組合が主催するウォーキングなどのイベントやレクリエーションに参加するかたちで、従業員の健康づくりについては意識していたので、ゼロからのスタートといった感じではなく、比較的スムーズに始められたと思います。


- ベースがあったうえで、健康経営に注力されていったのですね。

従業員の健康が事業の生産性に影響するということはこれまでも実感していました。ですから特に20代、30代の従業員には、若いうちから自身の健康について関心をもつように促し、維持管理することが大切だと理解してもらえるように、会社も積極的に関わっていきたいと考えています。と同時に、もっと幸せにならなきゃいけないということですね。健康経営に取り組むことで、従業員みんなが健康で幸せな毎日を過ごせることが私の願いでもあります。


楽しんで取り組むことをモットーに

- 健康経営を実践されているなかで、具体的な取り組みについてお聞かせください。

日常生活で簡単に取り入れられる運動を促す取り組みを始めています。7月からスタートしたのですが、1日8000歩という目標を決めて、月ごとに達成した従業員の上位5名には賞品を配布しています。今回は3カ月キャンペーンと題してウォーキングに力を入れ、期間中に参加した従業員にも参加賞を出しました。

- 歩いて健康になって、さらにプラスアルファがあると、従業員の皆さんのモチベーションも上がりそうですね。

楽しく健康づくりをすることが大切だと考えています。「どのくらい歩いた?」「最近、歩いてる?」など、社内で今までになかった会話が生まれたり、休日も歩こうとか、ちょっと遠くまで歩いてランチに行ってみようとか、そういうふうに少しずつでも意識が変わり、それが行動変容につながればいいですよね。あまりストイックになり過ぎると続かないので、普段運動をしていなかった従業員でも気軽に取り組めることもポイントだと思います。


- 御社にはO₂ボックスという加圧ルームが設置されていると伺いました。導入のきっかけなどについてもお聞かせください。

最近は、気圧の変化によって引き起こされる頭痛や肩こり、めまいなどを診察する外来があるほど、気圧が体調に大きく影響することが注目されています。疲れが残りにくく、リラックス効果などもあり、目のぼやけやしょぼしょぼ感が解消されるなど、多くのメリットがあることから導入に踏み切りました。導入してまだ半年くらいでして、本当は外部の方たちとの打合せなどにも使ったりしたかったんです。今はコロナ禍のため1人で使うことはありますが、使用を控えめにしている状況です。しかし、この状況が落ち着いたら利用機会は増えると思います。


― 黒田社長は実際にO₂ボックスを使用されましたか?

使ってみたら、私の場合は目がすっきりしましたね。目の疲れの回復が早いような印象です。先ほども少し触れましたが、本当はリラックススペースとして従業員や外部の方とも気軽に会話が進むような空間を期待して導入したものなので、状況をみながら私も利用を続けていきたいと思っています。また現在、社屋を改装している最中で、倉庫として使っていた場所を整理してフリースペースを作る予定です。そこに例えば、健康器具を設置したり、昼寝できる場所を作ったり、活用方法についてみんなで知恵を出し合っているところです。


大塚製薬のサポートで健康への意識を改革

- 大塚製薬からどのようなサポートを受けているかお聞かせください。

定期的に大塚製薬の担当者が来社して様々な提案をしてくださいます。また、健康経営を推進している担当者に向けた大塚製薬さん主催のセミナーに参加したり、来社された際に情報交換したりしています。そこで得た知識や情報を従業員へフィードバックしたり、KTグループの説明会で出た有益な話題を弊社の担当者が伝えたりし、みんなの意識づくりに役立てています。

- サポートのひとつとして、大塚製薬の自動販売機を設置されていますが、その理由や活用方法についてお聞かせください。

自動販売機の設置は1年以上前になります。「健康経営優良法人」の認定基準の中に、「食生活の改善に向けた取り組み」という評価項目があるのですが、当社の規模では社員食堂を作るのは難しく、では何ができるかと考えたとき、自動販売機だったら導入しやすいのではとなったんです。ちょうどそのタイミングで大塚製薬さんからカロリー表記がある自動販売機のほうが、設備のポイントになるというアドバイスをいただいたので、担当者と相談して決めました。ドリンクだけではなく、健康食品がラインナップされていて、意識せずに健康づくりにつながるので理想的ですよね。



- 健康経営に取り組むようになって、従業員のみなさんの意識や行動に変化はありましたか?

少しずつですが、個々の健康の維持管理に関しては意識が高まっていると思います。例えば、私自身が休日に1日中、家でゴロゴロして過ごすことがほとんどなく、社内でもエレベーターは使用せず、階段を使っています。その影響といいますか、最近は階段を上り下りしている従業員が増えはじめ、徐々に体を動かすことへの意識が生まれているなと感じます。

- 黒田社長が率先して体を動かしていることが、会社全体に好循環を生んでいるのですね。御社では健康経営アドバイザーの資格を取得された従業員もいらっしゃいますよね。

現在、健康経営アドバイザーの資格を取得している役員及び社員が6名在籍しています。資格を取得することで、会社全体で健康に関する意識づくりのきっかけになったと思います。それに、資格取得者の中には役員もいまして、まずは上の立場のものから意識を変えていこうと試みているところです。

- 最後に、今後の展望などをお聞かせください。

もともとウォーキングへの参加は従業員の反応もよいので、もっと歩くことの楽しさを全従業員に知ってもらえたらうれしいですね。今はビーチのゴミ拾いをする「ビーチクリーン活動」に取り組んでいる団体にエントリーしていて、9月から毎月1回のペースで当社主催の「ビーチクリーン活動」を行う予定です。健康経営に直結しているかは正直わかりませんが、私自身、どのようなやり方をすればよいのか勉強を兼ねて何度か参加もしてみました。ゴミ拾いをするときに砂浜や岩場を歩いたりすることで、適度に汗もかきますし、いい運動になるんですね。当社はマリン事業にも携わっていますし、SDGsの14番「海の豊かさを守ろう」を意識していることもあるので、健康経営にリンクした活動にも力を入れていきたいと考えています。


社内担当者が思う健康経営のこれから


健康経営を推進する社内担当で、健康経営アドバイザーの資格をもつ管理部総務人事室 荻原裕司さん

大塚製薬さんから定期的に健康経営についての情報を教えていただいたり、他社の取り組みを聞いたりして、自分たちの会社に合った活動を考えています。健康経営に取り組んで3年が過ぎましたが、従業員の健康への関心は高まっていて、意識して体を動かそうという雰囲気になっています。同時に通常業務と並行して健康経営に取り組む難しさや、他社の取り組みを自社でどう生かすのかなどは、悩みどころですね。現在、従業員の4割が喫煙者で、ここ数年下げ止まっています。喫煙者の割合を減らしていくことが直近の課題です。



<社長プロフィール>


神奈川トヨタ商事株式会社
代表取締役社長 黒田 圭次郎

1980年にトヨタビスタ神奈川株式会社、のちのネッツトヨタ湘南株式会社に入社。各営業所での業務を経て、2015年6月にネッツトヨタ湘南株式会社(現:神奈川トヨタ自動車株式会社)取締役に就任。翌2016年6月より現職。趣味はウォーキング、ゴルフ、釣り。日ごろから体を動かすことを意識しているという。