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冬に気をつけたい体調管理 免疫力を維持して健康を保とう



インフルエンザをはじめとする感染症は、気温が低く空気が乾燥した冬に流行しやすい傾向があります。職場内での集団感染を防ぐためにも、従業員の健康については配慮をする必要があるでしょう。

一方で、ここ数年で感染症に対する意識や接し方も変わりましたが、今年は厳しく対応してきたことからの緊張も解け、季節的な変化に対しても少しゆるみが出てしまっているかもしれません。
そこで、今回は感染症が冬に流行しやすい理由や、免疫の仕組みと免疫力の維持について、詳しくご紹介していきます。

なぜ冬は感染症が流行しやすいのか


冬に感染症が流行しやすいのは、温度・湿度ともに低い環境を好むウイルスにとって活動に適した季節になるためです。ウイルスの種類にもよりますが、気温15℃以下、湿度40%以下になると、ウイルスの表面を覆う水分が蒸発し、空中に浮遊しやすくなるため、空気中に存在するウイルスが多くなり体内に侵入する確率が高くなると言われています。

また、冬は乾燥しやすい季節ですが、ヒトのカラダが乾燥すると免疫力が低下するといわれています。こちらについては後ほど詳しくご紹介しますが、これは鼻や喉に存在する異物を排出する働きがカラダの乾燥によって弱まってしまうため、免疫力が低下しやすくなるのです。

そもそも免疫とは?


免疫とは、ウイルスや細菌、花粉などの異物から身体を守る働きのことです。大きく分けて、次の2つの段階があります
▷第1段階:粘膜免疫
 異物が目、鼻、口、腸管などの粘膜から体内に侵入するのを防ぐ
▷第2段階:全身免疫
 粘膜免疫を突破して体内に侵入した異物を攻撃して排除しようとする(発熱などの症状を伴う場合があります)

どちらも体を守る重要な機能ではありますが、身体を健康に保つという観点からみると異物の侵入を防ぐ「粘膜免疫」の働きを高めることがより重要となります。

免疫力が低下する要因
次に、免疫力を低下させる主な要因を見てみましょう。
▷栄養バランスの偏り
野菜を1日350g以上摂取することが推奨されていますが男女全年代の平均において、この目標値に達していません。野菜からは腸内環境を整えるために欠かせない食物繊維や身体の調子を整えるビタミン、ミネラルを摂取することできます。野菜だけでなく、全体の栄養バランスが偏らないよう日々の食事内容を意識しましょう。

▷運動不足
毎日の適度な運動習慣には、さまざまな健康効果に加え、免疫機能の向上にも寄与することが報告されています。 しかし、その一方で激しい運動が免疫力を低下させ、感染症のリスクになることもあります。

▷睡眠不足
十分な睡眠が取れない状態が続くと、体内リズムに乱れが生じてしまい、自律神経やホルモンバランスに影響を及ぼす場合があります。これらの働きが正常ではない場合、免疫力の低下につながり、感染症の罹患リスクを高める可能性があります。また、充分な睡眠時間を確保するだけでなく、熟睡間や寝心地といった睡眠の質にも注意しましょう。

▷ストレス
日々の慢性的なストレスは強いストレスを受けると自律神経のバランスが乱れて粘膜における免疫物質の分泌量が低下し、感染症にかかりやすくなります。また、一定時間難しい課題に取り組む、寒さや冷たさにさらされるなど、急性的なストレスを受けることでも免疫力が低下してしまいます。

経済産業省が公表している健康経営優良法人認定制度の認定基準の中にはメンタルヘルス対策の項目もあり、不調者への対応に関する取組が評価項目として挙げられています。従業員の身体の健康と合わせて心の健康を保つことも大切です。

免疫力を維持する方法


免疫力を高めるためには、日頃から規則正しい生活を心がけることが大切です。毎日の生活の中で、次の5つのポイントを意識してみてください。

▷バランスの良い食事の摂取
五大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)をバランスよく摂りましょう。3食しっかり食べることも重要です。
▷適度な運動
軽く汗をかく程度の運動を習慣づけましょう。[KK1] 
▷十分な睡眠
生活リズムを整えて、睡眠時間及び睡眠の質を改善しましょう。
▷身体を冷やさない
お風呂はシャワーで済まさない、オフィスではひざ掛けを使うなど、身体を冷やさない工夫をしましょう。
▷ストレスをためない
音楽を聴く、アロマを楽しむなどリラックスできる時間をつくることも大切です。笑うことで免疫を高めてくれるというデータもあります。

バランスの良い食事とは?
健康な毎日を送るためには、身体をつくるもとになる「タンパク質」、エネルギー源となる「脂質」「炭水化物」、身体の調子を整える「ビタミン」「ミネラル」をバランスよく摂ることが重要です。これらは五大栄養素と呼ばれ、私たちが生きていくために必要な栄養素です。どれかひとつでも不足すると体調を崩してしまう場合もあるため、1日3食から偏りがないように摂取することを意識しましょう。また、普段の食事で不足しがちな栄養素がある場合は必要に応じてサプリメントなどを利用するのもよいでしょう。

これらの栄養素のなかでも、積極的に摂りたい栄養素をいくつか紹介します。

▷タンパク質……細菌やウイルスの侵入を防ぐ免疫物質をつくる栄養素です。肉や魚、牛乳、大豆などに多く含まれています。
▷ビタミンC……白血球の働きを助けることにより、ウイルスの増殖を防ぐタンパク質の生成を促進します。野菜や果物などに多く含まれています。
▷ビタミンD……免疫力を調整する働きがあり、充分に摂取することで感染症の罹患リスクを下げることが確認されています。鮭や青魚、きのこ類などに多く含まれています。

腸内環境と免疫
腸と言えば、一番に思いつくのは食べ物を消化・吸収の働きを思い浮かべる人がほとんどでしょう。
しかし、腸にはウイルスや病原体から身体を守る免疫の働きを司る役割があることをご存じでしょうか。
実は免疫細胞のうち70%が腸に存在していると言われており、腸内環境を整えることが免疫を維持するための秘訣です。腸内環境を整えるためには腸内に存在する細菌の栄養を摂ってあげることが大切。腸内細菌のえさとなるのは主に食物繊維やオリゴ糖などがあります。食事の栄養バランスと合わせてこれらを摂取できる食品を追加してみることもおすすめです。

また、乳酸菌の摂取も免疫の維持に有効と言われています。植物由来のLactiplantibacillus Pentosus ONRICb0240(乳酸菌ONRICb0240)という乳酸菌が小腸から取り込まれると、粘膜免疫の主体となる「IgA」という抗体の分泌を高める効果があると言われています。日々の生活にこれらの食品を取り入れて健康な毎日を過ごしてみてはいかがでしょうか。

水分補給と体調管理
先ほどご紹介した栄養バランス、腸内環境と合わせて気を付けたいのが水分補給です。

「なぜ冬は感染症が流行しやすいのか」の章で少しご紹介しましたが、風邪などの予防には身体の水分量を保つことが大切と言われています。これは、鼻腔や気道に存在し、ウイルスなどの異物を排出する働きのある「腺毛」と呼ばれる細い毛が、体内の水分量を保つことで活発に働くようになるためです。

そのため、身体が乾燥してしまうと腺毛が十分に活動できず、異物を排出する働きが弱まってしまいます。「のどが渇いた」と感じる前からこまめに水分補給をすることで乾燥対策を行いましょう。

水分補給のポイントとして水分+電解質が重要です。体液に近い電解質(イオン)バランスの飲料を摂取することで水分が素早く体内に吸収され、水だけを飲むよりも長時間体内に水分を保持することが出来ます。冬場の水分補給にもイオン飲料を活用してカラダを潤し、健康維持に努めましょう。

栄養バランス・水分補給はもちろん大切ですが、あくまで基本的な感染症対策を行っていることが前提です。最後に、職場でできる感染症対策について詳しく見てみましょう。

職場でできる感染症対策


職場でできる感染症対策としては、たとえば次のような取り組みが挙げられます。
▷オフィスの入り口に手指消毒用のアルコール液を設置する
▷従業員に手洗い・うがい、状況に応じたマスク着用、咳エチケットを呼びかける
▷オフィス内を加湿して湿度を50~60%に保つ
▷従業員に対してインフルエンザの予防接種を推奨する
▷体調が優れない場合は休んだり、在宅勤務が出来るような制度を整える
▷テレワークやオンライン会議の導入
▷建物内の換気(窓の開放や空調の利用)
▷オフィス内座席間における距離確保

マスク着用や手洗いなど、毎日の習慣が感染症対策の基本となります。企業としてこれらの体制を整えるだけでなく、社員自身が日々の体調管理に興味を持ち、対策を実践していけるような環境づくりをしていくことも大切です。

免疫力チェックリスト
免疫力が下がると、身体はさまざまなサインを出してくれます。また、知らず知らずのうちに免疫力を下げる行動が習慣になっている場合も……。従業員に、定期的に免疫力のセルフチェックを促してみてはいかがでしょうか。

次の項目に複数当てはまるなら、免疫力が低下しているかもしれません。
▷お腹や手足が冷えて、低体温気味である
▷野菜や果物はあまり食べない
▷日常的に激しい運動をする(アスリート)
▷妊娠している
▷慢性的な睡眠不足である
▷座り仕事が多く運動不足である
▷ダイエット中で食事を減らしている
▷喫煙している
▷大きなストレスや悲しみがある
▷生活リズムが乱れている
▷風邪をひきやすい
▷便秘や下痢になりやすい
▷口内炎や口唇ヘルペスがよく出る
▷笑う機会が少ない
▷目や口が乾く
出典:免疫navi「免疫力チェック」

まとめ
▷冬はウイルスにとって活動に適した環境。さらに人の免疫力も低下しやすい季節であるため、感染症が流行しやすい。
▷免疫には「粘膜免疫」と「全身免疫」があり、身体を健康に保つためには「粘膜免疫」を高めることが重要。
▷日頃から健康的な生活を心がけ、健康な毎日を送りましょう。
▷腸内環境を整えることも免疫維持には大切。食物繊維や乳酸菌などを意識して摂取してみましょう。
▷手洗いうがい、水分補給、換気や加湿など基本的な感染症対策の実施を忘れずに行いましょう。

参考サイト:
免疫力を下げる生活習慣 - 現代の暮らしと環境 | 免疫Navi - 大塚製薬 (otsuka.co.jp)
運動と免疫 | 免疫Navi - 大塚製薬 (otsuka.co.jp)
免疫力を下げる生活習慣 - ストレス | 免疫Navi - 大塚製薬 (otsuka.co.jp)
五大栄養素と免疫力 | 免疫Navi - 大塚製薬 (otsuka.co.jp)
インフルエンザの感染を防ぐポイント 「手洗い」「マスク着用」「咳(せき)エチケット」 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)
免疫力チェック | 免疫Navi - 大塚製薬 (otsuka.co.jp)
~取組の5つのポイント~を確認しましょう!- 厚生労働省

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