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「朝食」で1日の始まりに“エンジン”をかけよう!

今回のテーマは「朝食」です。バタバタと忙しい朝。つい朝食を抜いたり、適当に済ませてしまったりする人もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、朝食にはメリットがたくさん。あらためて、朝食を見直してみませんか?




1日のスタートのスイッチを入れる朝食

あなたは朝食を食べていますか?
朝食は、身体中の細胞を活動モードにするスイッチ。体を温めるほか、集中力がアップし、太りにくい体作りにも効果もあります。
厚生労働省の平成29年「国民健康・栄養調査」によれば、男女ともに20代ではで4分の1以上の人が朝食を摂っていませんでした。さらに男性は、現役世代の50代まで、朝食を摂らない人の割合が19〜10%にも上ります。


実は、1日は24時間である一方、体内時計の周期は約25時間。このズレを調整し、体内時計をリセットするためのスイッチの一つが「朝食」です。朝食は、午前中のパフォーマンスにだけでなく、1日を通して様々な影響を与えます。朝食を抜くと、疲れやすい、イライラしやすい、太りやすいといった不調が現れることがあり、生活習慣病を招くきっかけになるとも指摘されています。
また、朝食で生活のリズムを作ることで、排便のリズムも整うといったメリットもあるのです。もし、下のチェックリストに当てはまる不調があるなら、朝食で改善できるかもしれません。ぜひ、やってみましょう!

  □朝から疲れを感じる
  □午後まで集中力が上がらない
  □なんだかイライラしやすい
  □最近太ってきた
  □便秘が気になる

  (チェックリスト提供:笠井奈津子さん)


目覚めに必要な「糖質」は、血糖値を安定させる

朝食では、バランスよく様々な栄養素を摂りたいもの。とはいえ、まず摂っておきたいのが糖質(炭水化物)です。糖質は、血糖値を上げて脳にエネルギー補給してくれます。血糖値が低い状態は、集中力の低下やイライラの元です。
また、1日3回決まった時間に食事を摂ると、血糖値の急激な上昇や降下を防げるため、糖尿病などの生活習慣病の予防にもつながります。余分な糖を溜め込むインスリンの急増も防げるので、肥満予防にも役立つと考えられます。
実際、食事のカウンセリングをしている人では、朝食を摂るようになってむしろ痩せたという人が少なくありません。



「タンパク質」は、体を素早く温めてくれる

タンパク質も朝食には必須です。食事をすると、消化などに伴い代謝が増えて体熱となります。この代謝の増加を「食事誘発性熱産生(DIT)といいます。下図に示した通り、栄養素別にDITを見ると、タンパク質のDITは約30%、糖質は約6%、脂質は約4%で、圧倒的にタンパク質を食べた時に熱が多く作り出されるため、体が温まるのです。筋肉の材料にもなるので、体を動かす1日のはじめにタンパク質を摂っておくことも大切です。





「ビタミン」&「ミネラル」は、「糖質」や「脂質」の代謝をサポート

一方、糖質や脂質を代謝するには、ビタミンB群やビタミンA、ミネラルも必要です。肉や卵といったタンパク源には、こうしたビタミンやミネラルも含んでいるため、同時に摂ることができます。また、野菜や果物にもビタミン、ミネラルが含まれているので摂りたい食材です。これらには食物繊維や水分も豊富ですから、便秘に悩んでいる人は、心がけて食べると良いでしょう。


朝食で、1日に必要な栄養を十分に摂ろう

「朝食をとる意味にはもう一つ重要なことがあります。実は、昼と夜の2食だけでは、1日に必要な栄養素が十分に摂れない恐れがあるのです」と笠井さんは指摘します。実際、朝食を食べている人ほど、栄養素や食品の摂取量が多いという報告※もあります。
「朝食は、昼食や夕食と違い、会食などその日の条件に左右されずに食べるものを選べる貴重な機会。良い食事の積み重ねもしやすいのです」と笠井さん。
昼食と夕食に何を食べるのかわかっていれば、そこから逆算して足りない栄養素を朝食で摂るのがオススメです。
加齢により1食に食べられる量が減り、消化・吸収の機能も低下する年代では、低栄養よるフレイル(筋力や認知能力の低下)が問題になります。フレイルを予防するためにも、朝食の意義が大きいと考えられます。
様々な不調の解消に役立ち、1日の食事のバランスを取ってくれる朝食。1日のはじまりのご飯に気を使ってみませんか?




<監修者>
笠井 奈津子
栄養士、食事カウンセラー

聖心女子大学卒業後、香川栄養専門学校(現、香川調理製菓専門学校)にて栄養士免許を取得。心療内科クリニック併設の研究所で食事カウンセリングに従事。これまで1万件を超える食事記録に目を通し、アドバイスをしている。著書に『10年後も見た目が変わらない食べ方のルール』(PHP新書)ほか。