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【後編/サウナで健康経営を考える】お金のプロに聞く、サウナの有用性





サウナを自身のライフスタイルやビジネスに取り入れ、一線で活躍しているファイナンシャルプランナー、古賀亮一氏。前編では、サウナとビジネスの親和性や健康経営に対する考え方について伺ったが、後編では健康経営に関連する制度やもたらす具体的なメリット、その中でのサウナの有用性を紹介していく。

前編はコチラ


合同会社マネット  代表取締役 古賀 亮一 氏


健康経営をサポートする「健康経営優良法人認定制度」

サウナ―けた:「健康経営優良法人認定制度についてお聞かせください」

古賀氏:「はい。『健康経営優良法人認定制度』というのは、ざっくりいうと、経済産業省が策定した制度で、健康課題に対して優良な取り組みをしている企業を顕彰する制度です。『大規模法人部門』と『中小規模法人部門』の2つの部門があるので、中小企業も安心してチャレンジできます。

サウナ―けた:「具体的にどうやったら認定されるのでしょうか。」

古賀氏:「かいつまんで言うと、健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)の認定要件は22項目あって、各項目において必要となる健康アクションを行うことが求められます。まずはその22項目をぜひ見てみてください。もちろん難易度が高そうなものもありますが、例えば『健康的な食べ物や飲み物を社内に置く』などの対策でクリアできそうな項目もあります。評価項目をひとつひとつ確認して実践できれば、それほど難しい制度ではありません。」

<注意>
健康経営優良法人の認定要件は年度ごとに改定が実施されます。上記に記載している評価項目も最新のものは内容が異なっている可能性がありますので、最新・正確な情報を知りたい方は必ず健康経営優良法人認定事務職のポータルサイトや、経済産業省の公式ページをご確認ください。
参考情報:健康経営優良法人認定事務局ポータルサイト

サウナ―けた:「なるほど……。まずはできることからコツコツとですね。認定を受けることで経営的視点、とりわけ中小企業の経営視点からみて、なにか具体的なメリットはありますでしょうか?」

古賀氏:「例えばですが
① 主に国の事業をしている企業、とりわけ建設系の企業だと、入札の際の加点要素になります。
② これは自治体にもよりますが、補助金、助成金がでます。
③ 金融機関から融資を受ける際の利率が低くなったり、保証協会に払う保証料が安くなったりします。
④ 保険会社が健康経営優良法人認定取得している企業への保険料の割引を行ったりしています。」

サウナ―けた:「健康課題に対し、きちんと取り組むことにより、経済的なメリットが用意されているのはありがたいですね……。古賀さんのクライアントの中で、健康経営に取り組み、メリットにつながった企業の事例などはありますでしょうか?」

古賀氏:「私が関わらせていただいた事例として、横浜市内で建設業を行っている会社様があります。取り組みの目的としては、人材採用の強化で、採用時に社内環境を目に見える良い形で示したいという理由から取り組みをスタートされました。」

サウナーけた:「優秀な人材を採用するためにも、健康経営への取り組みは重要なポイントになりそうですね。」

古賀氏:「じつは横浜市では、経済産業省の健康経営優良法人認定とは別に、独自で運営している『健康経営認証』という制度があります。

事業所内における健康経営の取組のPDCAサイクル状況を『経営者の理解と関与』『健康経営の推進』『取組の評価』の視点から評価し、次の3つの区分で認証するものになるのですが

クラスA :健康経営宣言等の明文化及びその意思を具現化した取組を行っているもの
クラスAA :クラスAの要件を満たし、さらに健康経営の推進体制の整備、従業員の健康課題の把握及び健康課題に即した取組を行っているもの
クラスAAA :クラスAAの要件を満たし、さらに健康課題に即した取組の結果を評価し、次の取組につなげているもの

そちらの方が、国が運営する健康経営優良法人の認定よりハードルが低かったため、まずはその認証に向けて動きました。」

サウナーけた:「都道府県ごとにも健康経営に関する制度が用意されているのですね。認証に動いた結果どうでしたでしょうか?」

古賀氏:「2020年にクラスAAの事業所であるという評価を頂けました。ちょうど運転資金の最適化のため、借入条件の見直しも併せて行っていたので、保証協会の保証料を助成していただける「よこはまプラス資金」の活用をしようと考えました。」

サウナーけた:「よろしければ、認証を得た結果具体的にどのような経済的メリットがあったのか教えていただいていいでしょうか?」

古賀氏:「運転資金を当時は保証会社融資の長期運転資金として5,000万円借入していましたが、経常運転資金2,000万円については保証会社の担保なく短期運転資金として借入をし、3,000万円分を保証会社融資で長期運転資金として借入をする形にしました。
その長期運転資金の保証料を『よこはまプラス資金』で1/10助成してもらえることとなり、人材採用の強化以外にも融資の面でメリットを受けることができました。」


健康経営最大のメリットは、従業員を守れるということ

古賀氏:「これらの制度を利用したり、健康経営に取り組むことには様々なメリットがありますが、何より代えがたい大きなメリットがあります。」

サウナ―けた:「ほおうぅ……。なんでしょうか……。」

古賀氏:「それは『社員を守れる』ということです。会社はヒトで出来ているので、社員を守るということは、会社を守るということになります。逆をいうと、社員を守れないというのは、かなりの経営リスクがあるということになります。」

サウナ―けた:「経営リスク??」

古賀氏:「はい。たとえば中小企業は従業員1名欠けたらその影響が経営数字に直撃すると思います。また、社員1人がうつになったり、事故に巻き込まれたりすると、労務対応にかなりの時間が必要となります。その間、企業は営業活動に集中できません。そうなると会社の財務が悪化します。社員の健康リスクを起こさない。社員を守って、健全に経営をするということは、1人の影響値が大きい中小企業こそ重要なことなんです。」

サウナ―けた:「たしかに……。しっかりと健康体で社員がパフォーマンスを発揮できるよう健康を守ることがいかに大切か、よくわかります。」

古賀氏:「はい。サウナの話に戻すと、社員一人一人が個人的に健康に気を付ける手段としてサウナを用いるのはもちろん、会社全体でコミュニケーションの一環として取り入れたりするのはかなり効率的です。身体、そしてメンタル、さらにコミュニケーションと、健康経営優良法人認定制度の多くの項目に影響を与えます。」

サウナ―けた:「おお……、改めて、サウナの健康経営へのポテンシャル、かなり高いですね……。」


健康経営に取り組むということは、中長期的な視野をもち、治療ではなく、経営リスクの対策を行い、経済的メリットをしっかり起こし、そして従業員ひとりひとりを守るということ。ファイナンシャルプランナー古賀亮一氏ならではの視点と発想。まずは小さいことからコツコツと健康経営を進めていきたい。


<プロフィール>


古賀 亮一 
株式会社JIMOSに新卒入社。
通販支援部署にてBtoBのコンサルティング事業に従事。 その後、株式会社FREEPEACEに入社しFPとして個人、法人向けのコンサルティングを行う。法人顧客向けには、主に中小企業をターゲットと し、財務・事業承継・労務の支援を行っており、提携の社労士とともに、 労務支援サービスとして、働き方改革に向けた社内労務制度の整備や確 定拠出年金の導入を実施。 個人顧客向けには不動産を中心として、総合的なコンサルティングを提供。2021年に合同会社マネットを創業。


瀬尾圭太(サウナ―けた)
サウナ専門メディア「サウナタイム」代表
ブライダル情報誌「ゼクシィ」の企画営業を経て、ブライダルジュエリーブランド、ブライダルITメディアの経営に従事。苛烈な経営環境から仕事終わりにサウナに行くようになり、そこからサウナの世界にのめり込むようになる。サウナとビジネスの親和性を身を以て体験した。サウナタイムはサウナの入り方や効能、サウナのトレンドなどを発信する日本初となるサウナ専門のwebメディア。マガジンを中心に、サウナ検索や口コミ投稿などもできる。