【後編/ライフスタイル編】長く続けるために、無理せずおおらかに
「“健康”は一過性であってはならない」が信条のメディプライム株式会社 代表取締役の河野弘幸さん。息の長い健康経営のためには無理をせず、目標に対するおおらかさを持つことが大切と考えています。今回はそんな河野さんの、ご自身の健康に対する取り組みをご紹介します。
※前編はこちら
自覚を持つことが「健康社長」の第一歩
医療関連の仕事に携わっていると、「健康意識は高いだろう」と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。この業界に身を置くきっかけは1980年代後半、「医療とITを融合させた未来がきっと来るはず」と思って学校を選び、医療システムに強いSIer企業へ就職したからです。当時は「24時間働けますか」が当たりの時代。自分の健康は後回しでした。
しかし今は「会社の大黒柱として自分が健康でなくてはならない」という自覚を持っています。
■経営者として夜遅くまで仕事をするときも。しかし、健康に気を使っている経営者の姿を「健康社長」のサイトで知り、自分なりの健康管理法を模索中です。
きっかけは、この「健康社長」サイトでした。紹介されている社長は皆、自身が健康であることを経営者の責務と考え、健康維持のために努めていらっしゃいます。その姿に、私も経営者として健康でいなくてはならないと、改めて気づかされました。
継続のために無理をしないランニング
そこで始めたのが、ランニングとストレッチ。そして、腹八分目の食事です。
実は以前にも健康を目的にランニングをしていました。会社員だった40歳過ぎ、1年の7割が出張で外食ばかりになり、また忙しさに任せてタバコを吸う量も増えていました。体調が優れない日々が数カ月続いたので禁煙したのですが、食欲が増して2年もすると体重が増加。減量のためランニングを始めました。するとランニングにすっかりはまってしまい、始めた翌年にはフルマラソンを完走し、目標のサブ4(フルマラソン4時間切り)をも達成するレベルに達しました。2011年当時は東京での仕事が忙しくなり、トレーニングの時間も思うように取れませんでしたが10月に大阪マラソン。そして、3週間後の11月には神戸マラソンにも参加し、膝を痛めランニングが出来なくなってしまいました。
■マラソン大会参加グッズ(ランニングキャップは「とくしまマラソン」、Tシャツは、高低差400mの険しい山間コースで関西では有名な「みかた残酷マラソン」時のものと、いずれも第一回大会である「2011大阪マラソン」、「2011神戸マラソン」参加時のもの。)2008年からトレーニングをはじめ、2009年と2010年はサブ4を目指して、月間250キロを目標に走っていたという河野さん。「健康のためにゆるく始めたつもりが、大会に向けて追い込むようになっていました」
そんな過去の失敗を反省点として、自分の健康管理にランニングを続けながらも、かつてとは意識を変え「継続するために無理をしない」をモットーにしています。
取り組みを一過性で終わらせないために
ランニングとストレッチのために、毎日「運動」の時間を設けていますが、「雨の日は無理をしない」「週4日程度できればOK」がルールです。そして、大切なのは早さや距離ではなく、健康のために気楽に走ると、自分に言い聞かせています。
■近所のグラウンドに面したランニングコース。「ランニングの締めは軽く腹筋運動。腹筋ができる器具付きベンチがあるんですよ(右写真の下方に腹筋をしている足が)。そして、肩甲骨を意識したストレッチで終了です」と河野さん
腹八分目の食事は、「腹八分目に医者要らず」ということわざを信じて始めました。膝を痛めランニングを止めた時に、体重が増えたのも理由です。栄養のバランスを考え、できるだけ色とりどりの食材を選ぶよう意識していますが、こちらも無理をせず、おいしく食べることを意識しています。
■ある日の朝食。「私の腹八分目メニューです。1日1回はヨーグルトを食べるようにしています。この日はマヨネーズたっぷりでしたね」と照れ笑いの河野さん
経営も健康も一過性のもので終わらせてはいけないと、健康経営を始めてより強く思うようになりました。長く続けるためには、居心地の良さや安心感はとても重要です。だから、自分たちができることから始め、目標はしっかり掲げつつも無理せず「がんばろう」に留めるおおらかさを大切にしています。
健康経営を始めて4年、自分の健康への取り組みはまだ半年ほどなので、いろいろな面で模索中です。これからは今導入している方法の効果や問題点を定期的に精査し、必要に応じて改善していこうと考えています。未来につながる健康経営に向けて、長期的な視野での活動を心に誓っています。
朝のワンコ散歩で気分をリセット
毎朝の散歩はたっぷり1時間。愛犬のムクちゃんとメイちゃんといっしょです。「朝の空気の中、自然豊かな玉川上水の川沿いを歩くのは気持ちいいです。朝の犬の散歩は私の当番なので、健康を意識して始めたものではないですが、愛犬たちと過ごすこの時間は何も考えない、リセットの時間。気分が一新し、精神の健康にも一役立っていると思いますね」と河野さん
<プロフィール>
メディプライム株式会社
代表取締役 河野弘幸
1965年兵庫県生まれ。HAL大阪の医療学科卒業後、SIer企業に入社。日本初の電子カルテシステム開発プロジェクトをはじめ、がん専門、中規模病院など多種な病院でのシステム設計、導入・支援に従事。医療PFI(※)での情報化整備の経験を経たのち、2010年に独立。翌11年、「医療に関わる全ての人とICTを繋ぐ」を理念にメディプライム株式会社を設立。医療情報技師
※PFI:Private Finance Initiativeとは、公共施設などの建設や維持管理を、民間の資金、経営能力、技術的能力などを活用して行う新しい手法(内閣府のPFIサイト参照)