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【後編:大学生編】若手経営者&大学生がホンネで語る「健康経営」の必要性

昨年の秋頃から、大塚製薬は日本青年会議所と連携して、会員企業の健康経営や健康作りのサポートをしています。今年5月には、平塚青年会議所・藤沢青年会議所・茅ヶ崎青年会議所・寒川青年会議所の4LOMで企画した、湘南4LOM合同事業オンラインセミナーを開催(LOM: Local Organization Memberの意)。健康経営について学ぶ機会を作りました。今回のイベントレポートは前半・後半と2編にわけてお届けします。前半では『若手経営者編』としてセミナーレポートとともに、4LMOに所属される経営者2名にお聞きした健康経営の実践例をご紹介しました。後半では『大学生編』とした特別編で、このエリアの大学に通う学生に対し健康経営に関する印象や考えをお聞きしたインタビュー内容や4LMOが若年層に行った健康経営に関するアンケートの結果についてお伝えします。

※前編はこちら



大学生の就職先選びで健康経営は最重要視
現役大学生2名に健康経営に取り組んでいる企業についての印象や、今後どういった企業で働きたいのか?、などインタビューを実施。就職先を選ぶにあたり、雇用される側の視点でみた健康経営についての率直なご意見を語っていただきました。


慶應義塾大学 環境情報学部3年
石井 柊さん


大学卒業後は、精神疾患やうつ病を抱えている人たちの支援をしている会社で働くか、大学院に進むか迷っている最中ですが、私の周りでは大企業で働きたいという人が多いですね。新卒社員を大事に育ててくれそうなイメージがあるようです。

私は若手経営者の方とも話す機会がありますが、とにかく頭の回転が早く、行動力のあるビジネスパーソンという印象があります。バイタリティもあって、マネタイズのチャンスを逃さないところは、スゴイと感じていますね。大企業ですと上下の人間関係や組織的なことで不安になる部分が多いと思いますが、若手経営者だからこその会社の魅力は、関係性がどれだけ対等になれるのかだと思っています。一緒に走っていけるような、同じ視点に立って、経営者が伴走者であるような関係性を築ければ、発言もしやすくなりますし、自ら積極的に動いて早く戦力になっていけるのではと思います。

健康経営は、大学の授業で聞いたことがありますが、それほど詳しくは知りませんでした。しかし、健康経営を通して、社員の健康を守ろうということ、対策をするということは、個々で社内の人をお互いに気遣う空気が生まれるので、心身の健康とあたたかい職場環境という両側面において良いことだと思いました。企業アピールではSDGsやCSRが目立ちますが、健康経営を行なっている企業は、社員一人一人に対しての気遣いができるということを表しているので、就職先としてとても魅力に感じますね。


自分の人生を豊かにするのはお金だけに限らないと私は思っていて、それって自分がどういう環境を選ぶのかという側面があると思うんです。『人生を豊かにするために譲れないもの』それは私にとっては仕事であり、その延長線上にやりたいことがあって、その次にお金と友達が半々くらいかなと。

私は高校1年生のときにクラスでイジメにあい、食事が喉を通らないくらいになって、一時期不登校になったんです。不登校になるなんて、中学生のときの自分は想像していなかったですし、高校生になったばかりのときも想像していなかったです。この高校時代にイジメにあった経験を振り返ってみると、個々でお互いを気遣う空気や環境が整っていなかったことが原因の1つだったと思うので、そう考えると、環境を整えることは誰にとっても良いことなのだと。病気になるということは事前に何かしらの症状が出ていると思いますし、予防療法的な対処になりえるこの健康経営というのは、大学生の就職先選びの指標に、今後なっていくと思います。





東海大学 工学部建築学科4年生
久保 由輝さん


私は工学部建築学科を専攻していて、特に木造建築についてもっと勉強したいと思っています。そして、就職は建築関係を考えていますが、一般の休日とは違う動きになると思うんです。納期ギリギリで、現場現場で対応をしつつも、その分、あとでしっかり休んでバランスをとることができるなど、社員の健康を考えてしっかりと調整してくれるところで働きたいですね。

待遇面で大企業と同じような条件は難しい会社でも、自分を引き上げてくれるようなところですと、学生は惹かれると思います。建築関係の中小企業やベンチャー企業は、修行として就職する人が多く、そこで信用を積み上げていく。自分の成長を感じつつ、引き上げてくれるような会社であれば、モチベーションは上がっていきます。年齢で区切るということはないのですが、私が働いてみたいなと思う会社の社長は建築家で、まだ40代です。若い経営者のほうがアップデートが早く、会社のトップとして、締めるところは締めるのですが、学生の私に対してまで気軽に声をかけてくれます。一人の人間としてみてくれているというのがわかると、励みになります。


健康経営というワードは正直に言いますと、湘南4LMOまちづくり会議委員のアンケートで初めて知りました。私の場合、作品や模型作りをしているときは、徹夜をしてしまうことがあり、頑張り過ぎてしまう性格なので、働くなら会社できちん勤務管理をしてもらえるところが良くて、有給や育児休暇等を含めて、休みがとりやすいところは非常に魅力的で、ありがたいと思います。集中して、疲れていることに自分で気づかずにやり過ぎてしまいそうなところを、会社でケアしてくれる。若いほうが自分の限界がわからないことは多々あると思いますし、健康作りをアナウンスしてくれれば、こちらのセルフケアをする意識が高まるきっかけとなります。こういったことをしてくれる会社は信頼できて、働くうえでの安心感がだいぶ違います。

実際、健康経営というワードで採用募集しているような会社は少ないかもしれませんが、まだワードが浸透していないだけで、その考え方は採用する側もされる側も意識にはあると思うんです。10年後くらいには、このワードは一般的になっていくのではないでしょうか。私たち世代の意識としては、やりがいと健康経営のどちらかを天秤にかけるのではなく、健康経営が殿堂入りしていると言いますか、就職先選びではそこがまずベースとなり、それを踏まえたうえで、どこを選ぶかという順になります。いくら自分が好きな建築の仕事ができるといっても過酷だと続かないですし、やる気だけで5年、10年もできません。若いので健康なんて気にせずにやりがいのあるところを優先的に考えるというのではなく、健康経営を行なっているか否かが私にとって就職先の重要な決め手になってきますね。



今の若者が健康についてどのように考えているのか
ここからは、お二人と同様に就職を考えている学生など若年層に対し、湘南4LMOまちづくり会議委員が過去に実施したアンケートの結果をご紹介します。今の若者は健康経営についてどのように考えているのでしょうか。



調査期間:2021年5月10~20日/対象者:3市3町に在学する学生、大学院生、就職3年目までの若者、教員/調査方法:Googleフォームへの記入/回答者数:109件

「企業が従業員のために健康を気遣うかどうかが、就職先を選ぶ判断基準となるか?」の設問で、「なる」「少しなる」の合計が85.3%もあり、就職先を選ぶ際の大きなポイントになることがわかりました。


更に「神奈川県内の中小企業は健康経営に取り組んでいると思うか?」の設問に対しては、「まあまあ取り組んでいると思う」「ほとんどが取り組んでいると思う」の合計が77.1%となり、学生からは県内企業の取り組みに対して、一定の評価が得られていることがわかりました。しかし、逆にいえば健康経営に取り組むことは今や学生にとって当然すべきことであり、この取り組みが不十分な場合は、学生の企業に対するマイナス評価にも繋がりかねないということがアンケート結果からも見て取れます。

他に「仕事とプライベートではどちらを重視しますか?」という設問に対しては、プライベート重視の回答も多く、もはや若者には、健康やプライベートを削って会社に尽くすという考え方は受け入れられないということがわかりました。むしろ社員の健康やプライベートを充実させながら、仕事のパフォーマンスを上げて、質を高める取り組みが現在の企業には求められていることが読み取れました。

インタビューやアンケート結果からわかるように、健康経営への取り組みはすでに当たり前となり、学生はその視点で就職先選びを考えるようになってきていることは注目すべき点といえます。




取材協力:湘南4LOMまちづくり会議(平塚青年会議所、藤沢青年会議所、茅ヶ崎青年会議所、寒川青年会議所)