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【前編 サウナで健康経営を考える】医師に聞く、強制的にオフにできるサウナの魅力

コロナ禍の中でなか解決しなければならない事業課題はやまほどあるが、それらはすべて「健康的な社員」がいて初めて成せること。そんな中、サウナを福利厚生や社内コミュニケーションの一環として取り入れる企業が増えている。サウナがもたらす健康やビジネスへの影響とは?そう、今日本の企業は、いかに社員の健康を守るか。「健康経営」がとても重要なポイントとなっている。以降数回にわたって日本最大級のサウナメディアを運営する瀬尾氏(サウナ―けた)を中心に各回でゲストを招き、インタビューを行っていく。本企画は、社員の健康を積極的に改善する企業や取り組みを紹介していく。まず第1段は、昨今話題の「サウナ」を積極活用するビジネスマンが増えており、その秘密を探った。初回は現役医師にサウナの効果や入りかたなどを伺った医学的見地でロングインタビュー。前編と後編に分けてお届けする。

 


日本サウナ学会代表理事、加藤容崇氏
 
今回インタビューしたのは、企業が社員の健康と向き合う連載企画。まず最初にインタビューに伺ったのは、日本サウナ学会代表理事で、現役医師である加藤容崇氏。加藤容崇氏は、慶應義塾大学医学部腫瘍センターや北海道の北斗病院など複数の病院で活躍しており、すい臓がんを中心にした癌全般と神経変性疾患の病理診断を専門としている。また、病理学や生理学にも精通しており、人間が健康で幸せに生きるためには、日々の健康習慣が非常に重要であるだとい言うことに気づき、サウナをはじめとする世界中の健康習慣を最新の科学で解析することを第二の専門としている。サウナがもたらすメンタルやフィジカルへの効果、そしてビジネスとの親和性を医師ならではの目線で語ってもらった。
 
 
社会の転換期のときに、サウナは流行りやすい

 


今日はどうぞよろしくお願いします。〜サウナーけた〜
よろしくお願いします。〜加藤容崇氏〜
 
サウナ―けた:ここ数年、サウナの人気が非常に伸びて延びており、多くのサウナ愛好家、そしてビジネスマンたちがサウナを楽しんでいますね。
 
加藤氏:そうですね。今は第三次サウナブームと言われているかと思います。第一次は高度経済成長期のオリンピック期、第二次はバブル期、そして第三次はコロナ禍。社会不安や経済の転換があるときにサウナって流行っているんですよね。人々は肌感でサウナの必要性をわかっているのかもしれませんね。
 
サウナ―けた:なぜそのような、いわゆる経済の転換期にサウナが注目されるのでしょうか。
 
加藤氏:このような時期って、人々にとって「休み」が必要とされていると思うんですよ
 
サウナ―けた:たしかに……。転換期や過渡期であればあるほど、肉体や精神を酷使しますもんね。
 
加藤氏:身体だけではなく心も休ませる上で重要なのがむことは、自律神経を整えるということでもあるんですね。ただその自律神経は人間が意図的に操作できるものではありません。「よし!リラックスするぞ!」といきこんでもリラックスって出来ないですよね。自律といっているくらいなので、本人の意志とは関係なく自動運転で、交感神経(緊張や興奮を司る神経)や、副交感神経(休息やリラックスを司る神経)が作用しています。昨今のコロナ禍のようににより様々な社会情勢が不安定な時は、基本的に交感神経に常に傾いています。いうなれば常に緊張状態。そこにサウナが強制的にオフ、副交感神経に傾かせてくれるんですね。サウナは自律神経を自分でコントロールできる数少ないものなので、今のような情勢下では必要とされ、結果流行っているのかもしれません」

 
 


サウナの効果は「強制的にオフにできること」
 
サウナ―けた:心身、精神の「休み」にとって重要な自律神経。この自律神経とサウナの関係を教えていただいていいでしょうか。
 
加藤氏:オンの交感神経、オフの副交感神経、まずそもそもですがこれらはシーソーのような関係です。交感神経が優位だと副交感神経は劣位になり、どちらも優位になるということはありません。
そして、人間は長時間交感神経を優位にし続けることはできないので、長時間の緊張状態が続くと次第に身体体や心のパフォーマンスが落ちてきます。
サウナ、水風呂、外気浴といういわゆるサウナ浴は、大きなリラックス効果が得られるので最終的には副交感神経に傾きます。先ほど話した長時間の交感神経優位時にサウナに入ると、強制的に交感神経から副交感神経に傾かせることができるので、一気に落としたパフォーマンスを取り戻すことができるんです。
 
サウナ―けた:日常生活で強制的に副交感神経に傾かせることってなかなか出来ないですもんね……。長時間の緊張状態が続いた時ほど、サウナの効果は大きいのんですか?
 
加藤氏:はい。交感神経を長時間傾かせた状態であればあるほど、サウナの効果は大きいです。とても疲れていたり、気分が激しく落ち込んでいるときにサウナに入るとものすごく気持ちが良いのがこういう理由ですね。
 
サウナ―けた:「仕事で嫌なことがあったときほどサウナが気持ちいい」ってよく言われますが、こんな理由があったんですね。これから仕事とかで本当に疲れた時は、心の中で「お!サウナチャンスだ!」と思うようにします。
 
加藤氏:そうですね。いずれにせよ、強制的にオフにできること、これがサウナの大きな効果かと思います。

 
 


「休む」ことが非常に重要視される昨今のビジネス環境に対し、強制的にオフにできることがサウナの魅力と加藤医師は見解を述べたがではなぜサウナはそのようなことができるのか。より深いサウナの効果と、医師ならではのサウナの入りかたを後編で紹介する。
 
 
※サウナ入浴時は下記の点にご注意ください
・高血圧、血圧が高めの方の長時間入浴
・生活習慣病のある方の長時間入浴
・飲酒した状態での入浴
 
上記の他にも、その日の体調等にこまめな水分補給を行いながら、体調に気を使い、無理のない範囲で快適なサウナを心がけるようにしてください。


<プロフィール>


加藤容崇
群馬県出身。北海道大学医学部医学科卒。 医師・医学博士。北海道大学医学部にて特任助教として勤務したのち渡米。ハーバード大学医学部附属病院に勤務。膵臓癌の創薬に関する研究を行う。帰国後、慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット、北斗病院腫瘍医学研究所に勤務し、癌ゲノム医療を行なっている。加速する医療費増加を目の当たりにし予防医療の重要性を認識。予防医療としてのサウナを研究するため日本サウナ学会を設立し、サウナをフィルターとして地方のゆたかなヒト・モノ・場所を再接続して価値を高める地方創生プロジェクト『ヴァルス計画』(株式会社OneGreen)を主宰している。 著書に『医者が教えるサウナの教科書』(ダイヤモンド社)があり、ホンマでっかTV(フジテレビ)、文藝春秋、などメディア掲載多数。医療漫画『フラジャイル』(講談社)の医療監修も務める。

 


瀬尾圭太(サウナ―けた)
サウナ専門メディア「サウナタイム」代表
ブライダル情報誌「ゼクシィ」の企画営業を経て、ブライダルジュエリーブランド、ブライダルITメディアの経営に従事。苛烈な経営環境から仕事終わりにサウナに行くようになり、そこからサウナの世界にのめり込むようになる。サウナとビジネスの親和性を身を以て体験した。サウナタイムはサウナの入り方や効能、サウナのトレンドなどを発信する日本初となるサウナ専門のwebメディア。マガジンを中心に、サウナ検索や口コミ投稿などもできる。