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健康経営のことはじめ ⑦ 中小企業の取得数増加!「健康経営優良法人」の取得法

健康経営のプロフェッショナルである岡田邦夫さんを迎え、今更聞けない初歩的な内容も含めて、健康経営の基本のキを紹介する連載「健康経営のことはじめ」。第7回は、積極的に健康経営に取り組む企業を国が認定する「健康経営優良法人」についてです。認定を受けるための方法やメリットなどを、健康経営の初心者であるトリクミハジメ&コトノワカバの二人と一緒に学んでいきましょう!






「健康経営優良法人」って何?

トリクミハジメ(以下、ハジメ):健康経営に取り組んでいる企業のホームページを見ると「健康経営優良法人に認定されました」と書いてあるのをよく見かけますが、どのようなものですか?

岡田邦夫(以下、岡田):健康経営優良法人とは、経済産業省と日本健康会議※1が2017年に始めた「健康経営優良法人認定制度」に基づき、日本健康会議が主体となって「優れた健康経営を行っている」と認定した企業のことです。
日本が国を挙げて健康経営を推進するのは、少子高齢化による将来的な労働生産人口の減少を食い止めたいからです。企業にとっても従業員が健康であれば生産性があがりますし、高齢になっても元気に働いてもらえるようになります。そんな企業には、優れた人材も集まり、息の長い経営が続けられます。
健康経営優良法人認定制度の目的は、健康経営に取り組む企業の「見える化」です。認定企業は「いい会社だ」と太鼓判を押して公表するので、企業にとっては社会的評価を上げるチャンスであり、我が国にとっては、健康経営をはじめてもらう動機付けという意味合いがあります。

コトノワカバ(以下、ワカバ):なるほど! ぜひ取りたい認定ですが、資本力のない中小企業中小企業は、大企業に比べて不利ではないですか?

岡田:健康経営優良法人認定制度は、従業員の人数などを基準に大規模法人部門と中小規模法人部門に分けて審査するので安心してください。
認定は年に1度行われ、健康経営優良法人の有効期限は1年間。毎年更新するので、認定されることで終わりでなく、持続することに意味があり、申請する企業は年々増えているんです。
各部門とも優良上位500法人には、健康経営優良法人の中でもトップクラスである証し「ホワイト500※2」「ブライト500※3」という称号が授与されるため、毎年これを目指す企業の優れた事例がどんどんと出ています。
※1:国の支援の下、少子高齢化に起因する課題に取り組む実行団体
※2:〈ホワイト500〉大規模法人部門で認定された健康経営優良法人の中の上位500法人に付与される。2019年度までは認定企業すべてを「ホワイト500」と呼んでいたが、2020年度から上位500法人に限定
※3:〈ブライト500〉中小規模法人部門で認定された健康経営優良法人の中の上位500法人に付与される。2021年度からスタート




「健康経営優良法人」取得の3つのメリット

ワカバ:社会的評価が上がる以外で、健康経営優良法人の認定を取得するメリットはありますか?

岡田:実質的なメリットが3つありますよ。
一つめは、先ほども少し触れましたが、良い人材が集まりやすくなります。最近の就職活動では、従業員の健康と働き方に配慮していることが就職先を選ぶ条件にもなっているので、健康経営優良法人の認定は採用活動で有利に働きます。
実際、健康経営優良法人の認定を受けた翌年の新入社員採用では、募集人数をはるかに上回る応募があり、みなさん優秀な人材だったため全員採用した、と中部地区のとある企業の取締役は話していました。

ワカバ:最近は学生だけでなく親も、従業員の労働環境にはとても関心を持っていますから、健康経営優良法人ならば安心ですね。二つめは何ですか?

岡田:金融機関からのインセンティブが受けられることです。例えば地方銀行をはじめ金融機関では、健康経営優良法人への融資を低金利で行っていたり、奨励金や補助金制度を導入している自治体もあります。
三つめは、自治体による優遇です。北海道岩見沢市や長野県松本市では、健康経営優良法人が公共工事や入札審査を受ける際、入札加点を受けられます。地域によって内容は様々ですが、競争入札に参加する中小企業にとっては見逃せないメリットといえるのではないでしょうか。このように健康経営優良法人に対するインセンティブや優遇措置を行う自治体や金融機関も増えていますので、詳細は経済産業省のサイトなどで調べてみるとよいでしょう。


「健康経営優良法人」認定までの道のり

ハジメ:どのようなステップを踏めば、認定を受けられるのでしょうか?

岡田:中小企業の場合はまず、協会けんぽの「健康宣言」の認定を取る必要があります。流れは次の通りです。

  1. 協会けんぽが発行するチェックシートで自社の健康課題を洗い出す

  2. 「健康宣言」の応募用紙に、取り組む健康課題を記入して協会けんぽに送る

  3. 協会けんぽのサポートを受けながら、宣言した健康課題に取り組む

  4. 取り組みが進んだら、実施結果レポートに自己評価点を記入して協会けんぽに送る

  5. 協会けんぽが実施結果レポートに基づいて審査し、宣言内容が実施されていると認定される


応募はいつでもできますし、実施結果レポートの提出期限は1年後ですが、難しければ延長も出来ます。課題の取り組み方に悩んだら、協会けんぽが相談にものってくれます。チェックシートの内容は、「従業員は健康診断を受診していますか?」といった基本的な項目ばかりなので、まずは気軽にチェックしてみてはどうでしょう。
チェックシートや応募用紙などの入手方法は地域によって違うので、協会けんぽのサイトを確認してくださいね。

ハジメ:「健康宣言」の認定が取れたら、いよいよ健康経営優良法人の認定取得に挑戦ですね

岡田:その通り。「健康宣言」の内容は、健康経営優良法人認定の評価項目に沿っているので、「健康宣言」をステップアップさせたものが「健康経営優良法人」と考えればいいでしょう。
「健康経営優良法人」は認定評価項目の24項目中、15項目以上をクリアすれば健康経営優良法人の申請が可能です。
申請期間は通常8〜10月です。経済産業省のサイトで申請用のIDを取得し、通知された専用サイトに必要事項を入力、書類をアップロードして申請します。入力データは協会けんぽで検証され、承認されれば、審査機関である日本健康会議に送られます。そして半年程の審査期間を経て、翌年3月頃、経済産業省と日本健康会議のサイトで認定企業が発表されます。

ワカバ:重要なのは「健康宣言」後、どのように健康課題に取り組むかですね。

岡田:そうです。健康経営は、経営者だけが頑張っても続かないので、従業員の協力と、必要であれば外部の力を借りるのも得策です。協会けんぽ以外にも、東京商工会議所が養成した健康経営アドバイザーなどがサポートしてくれますよ。
社会的評価の向上や人材の確保は、中小企業の持続的な経営にとって重要な要素です。健康経営優良法人の認定取得を目標に、まずは「健康宣言」のチェックシートを確認してみてください。健康経営への課題と取り組みのイメージが見えてくるはずです。






<プロフィール>


岡田邦夫
NPO法人健康経営研究会理事長
大阪府医師会健康スポーツ医学委員会委員長
平成26年度厚生労働省「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取り扱いに関する検討会」委員をはじめとして各方面で幅広く委員を歴任。
主な著書に『健康経営のすすめ』(社会保険研究所)、『これからの人と企業を創る健康経営』(社会保険研究所)、『健康経営推進ガイドブック』(経団連出版)、『ストレスチェック導入・運用サクセスガイド』(メディカ出版)、『なぜ「健康経営」で会社が変わるのか』(共著)など多数

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